携帯を持っていないあたしは、
花音としばらく手紙のやりとりをしていた。
けれどもタイムラグあるし、話したいときに話せないし、
なによりやっぱりリアルタイムじゃないことが一番いやだった。
なのであたしは初月給を携帯電話に充当させることに決める。
そうすれば、今ならLINEだってあるし、話せる。
お給料をもらった後にすぐ契約をして、花音に知らせた。
花音は喜んでくれた。
これを使ってLINEで毎日話そう、と言ってくれた。
けれども心境の変化はやがて訪れる。
LINEはわりと減ってきているが、続いていた。
だがLINE電話or音声通話になるとまったく出ない。
なんで?
あたし、何かした?
花音は大切にしてるのに………
あたしは花音を一番に必要なのに…………
がまんできないあたしは、手紙があった頃の封筒を見つけ、札幌に向かった。
………
…………
…………
札幌駅、というところに着いた。
初めての札幌。
東京ほどではないが、本当に栄えている。
あまり田舎根性を出さないように、花音の自宅を訪れた。
インターフォンを鳴らすと男性の声が聞こえた。
マンションの扉が開くとそこには上半身裸の男性の姿があった。
「?誰」
「あんたこそ誰。ここは花音の部屋でしょ?」
「はぁ?おーい花音。友達じゃねーの?」
え。
花音がいるの?
嬉しい反面、この男性は誰なのか問いただしたい衝動に狩られた。
「えー咲夜くん名前聞いてー」
「へいへい。その代わり一回この後やらせろよー?」
「わかってるー」
なんだこの会話。
本当に花音??
あたしは耐え切れずに玄関に立つ、咲夜と呼ばれた男性の隙を抜けて中に入った。