「今回で三体目の試作品になるわけだが、どれが一番気に入ったか教えてくれ」
博士は真面目な顔で、そう私に質問してきた。
だが私には、最早そんなことに答えられる余裕はない。
X型の拘束台に括り付けられた私は、息を乱してビクビクと身体を痙攣させていた。
「おいおい、聞いてるのか?ちゃんと答えてくれ」
「む、むり、ですぅ!だってこのマシーン、な、舐め……ぁんんッ」
「気付いたか!?実は限りなく人間の舌の感触に近づけた、クリトリス用の責め具を取り付けたんだ!しかも人間では不可能な速度で舐め回せるパワーを持たせてある。どうだ?さぁ、赤裸々な感想を聞かせてくれ!」
博士は喜々として私に顔を近づけると、急かすように肩を揺すぶった。
敏感な花芽を嬲られながらレポートするのは、快楽で口がもつれるし、何よりすごく恥ずかしい。
けれどこれは契約の内なので、私は務めを果たさなければならなかった。
「ぬとぉって下から上にねちっこく舐められて気持ちいいですぅ!ぁ、はぁぁ……っ!やぁ、皮剥いちゃ駄目……ひぃう!だ、め、だめぇ、刺激、強すぎ……っ」
「ふむ。好評のようだな!もう少し速度を上げてみようか」
「そ、そんなぁ!イっちゃいますっ」
「そのために作ったマシーンだからな。存分にイってくれ」
「や、やだ、やだやだ……っ!ぁ、あ、イ……っちゃ、あ」
ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ、と舌が勢いよく私のクリを舐め上げ始める。
剥きだしにされた敏感な花芽を弄り回されながら、私は内股にギュッと力を入れて耐えた。
ふぅ、ふぅ、と湿った荒い息が鼻と唇から漏れる。
肉厚な舌が滑りをまとって更にスムーズに動き出したことで、私は秘孔がぐちゃぐちゃに濡れてしまっているのを思い知らされた。
「も、止めてくださいぃ……っ!」
「まだイってもいないのにか?いま止めたら実験にならないじゃないか」
「でも、でも!ぁぁぁッ……刺激が強すぎますぅぅぅ」
体がガクガクと震えて、声が上擦り語尾が伸びる。
ぬかるんだ襞を掻き分け、固くなった秘芽を掬い上げるようにして、肉舌は容赦なく私を責め立てた。
「ひぐ、ぁっ、ああ……!」
イきたくなくて、私は必死に全身に力を入れて我慢した。
X型に貼り付けられ、ふわふわした手枷をはめられた手首と足首が、じんわりと汗をかいている。
ドッドッと心臓が脈打ち、身体中を血が駆けめぐるように感じた。
足の指が一本一本開いたり閉じたりして、どうにか快感を外に逃そうとする。
「ふ、ぅうっ!や、ぁ、……ン――ッ」
「なるほど。今にもイきそうではあるが、なんとか耐えられるということだな。では」
博士は興味深いと言うようにうなずき、ラボの無機質なデスクからスマホ大のリモコンを取り上げた。
リモコンには低速・中速・高速と大きく書かれたボタンと、前・後と書かれたボタンが並んでいる。
高齢向けのスマホを彷彿とさせる、実に分かりやすいデサインだった。
意図や用途が手に取るように分かるというのは、この場においては嫌な予感しかもたらさない。
「君は前を責めるとすぐにレポートを疎かにするからな。まずは後ろからだ」
博士は後ボタンを押し、私の顔をじっと見つめた。
途端に、菊孔に不穏な圧迫感を感じる。