にも関わらず、私達の顔は近づいていく。
唇が重なった。
夫に申し訳ないとは思わなかった。
だって存在すらもすっかり忘れていたから…
「初対面なのに、キス…しちゃったわね」
「…いやでしたか」
「いいえ」
それからはなだれ込むようにソファに倒れ貪るように唇を奪い合った。
舌を絡ませながらシャツのボタンを外してくる。
若いのに器用な子ね、結構な遊び人なのかしら?
所詮一期一会の相手だから詮索する気はさらさらない。
それよりも肌蹴たシャツから覗く下着が色気のないものであることが気がかりだった。
そんな心配はすぐに無用と判明する。
少し乱暴な手つきでめくられ、下着になんて見向きもせずに乳房にしゃぶりつかれた。
「あん…」感じながらも可愛いと思った。
髪を撫でると、やっぱり。最初に思った通りに細くて柔らかい、上質な絹糸のような手触り。
これは男性に言っても喜ばれないだろうと思い、口をつむぐ。