そして、乱交パーティ当日。
15人程度の男女が、タワマンの高層階の一室に集まった。
エントランスからわかっていたけれど、庶民が立ち入っていい空間じゃない。
新設のホテルを思わせる空間は、まさにセレブの住居。
ラウンジを連想させるパーティルームに設置されたマットレスと、大人が5人余裕で座れるソファが「いかにも」って感じだったけれど。
全体的に、多少男の人の方が多かった気がする。
私の意識がそれどころではなかったのは、女性陣がみんな目が覚めるような美人だったから。
(こんなきれいな人たちに囲まれたら、誰も私のことなんて相手してくれないよ……)
ていうか、こんな人脈もっているのに、どうして鈴木さんは私を気に入ってくれているんだろう。
「おしゃれをしてきて欲しい」という鈴木さんの要望に応えて、気合を入れたワンピースが、途端に
(帰らなきゃ……)
咄嗟に鈴木さんを探し、声をかけた。
すると、複数の男性が返事をするものだから「え」と言葉を詰まらせてしまう。
うち1人が、あぁと
「お前ら鈴木って名乗ってるの?」
「そう言うお前もな!」
「あー、ごめんユミちゃん。こいつらだいたい鈴木さん」
私が探していた鈴木さんが「ここからここまで」と適当に指すとどっと笑いが起きる。
「援助交際も風俗も、だいたいみんな「鈴木」とか「佐藤」って名乗るの、あるあるだもんねぇ」
戸惑っている私の肩をぐいっと抱き寄せて、笑いかける――黒髪にキツネ目の美女だ。
服の上からでも豊満な胸とくびれがくっきりしている。
アジアンビューティを体現したような美女は、
「緊張しているでしょ」
と耳元で
「は、はい……」
「かーわいい! 私、ナツメ。よろしくね」
「ゆ、ユミです。こういうの、はじめてで……」
(どうしよう、自己紹介しちゃった。「帰る予定なんです」って言い出し辛い……)
気の利いた言葉が
「緊張しないで。私達もはじめてだよ」
反対側の耳元で、突然くすぐるように話しかけてきた金髪ショートの美女。
目を丸くしたまま
「この子はサトコって言うの。一応私のパートナー」
と、ナツメさん。
(えっと、パートナー?)
2人の美女を見比べる。
モデル……しかもハイブランドしか相手にしないような、常人離れした美貌は近寄りがたい雰囲気なのに。
2人ともフレンドリーで距離が近い。
(あ、当たってる……)