やっと終わりが見えてきたころには後夜祭。
どうやら男女でダンスをする、定番のキャンプファイアーをしている。
あたしと倉田くんは後片付けをしながら話をしていた。
「なー前から思ってたんだけどさ」
「ん-?」
「やっぱ安東が好きなんか?」
「……あっははー。何言ってんだか」
「本気で」
「…好き。先生が好きだよ」
「無理じゃね?相手教師だぞ」
「わかってる。だから…卒業して、数年後に偶然出会って、そこから関係を始めたい。教師と生徒じゃない二人で」
真剣なまなざしだろう。
本気だから。
教師と生徒ではだめだ。
わかってる。
だから今はこらえるのだ。
そんなあたしを倉田くんは抱きしめてくれた。
「俺に…しとけよ。つらい感情なんて、持たせない」
「倉田くん…」
「俺はずっとお前が好きだったんだ。これ以上傷つく姿は見たくない」
あたしは幸せ者だ。
こんなそばに、あたしを大事に考えてくれている人がいるなんて。
けどあたしの心は変わらない。
「確かに…倉田くんを選べばあたしは傷つかないことは多いかもしれないね」
「高橋、じゃぁ!」
「でもごめんね。あたしは誰かを好きになるのはこの一回限りなの。だから倉田くんを選ぶことはできない」
あたしは抱きしめてくれていた腕から離れる。
「見てて。あたしはもっともっと美人になって、先生が自慢したくなるような女性になるの。とびきり美人になれば生徒だったあたしにも気づかないでしょ?」
「つらいだろ」
「大丈夫なの。大丈夫。それがあたしの愛情表現だから」
あたしはハッキリとそういった。
倉田くんが何かを言いそうになったとき、女子があたしを呼びに来た。
一緒に踊りたいと後輩が呼んでいるらしい。
倉田くんには悪いけど、少しだけ外すことにした。