「んあぁぁ…」
それは一定のペースで最奥まで押入れられる。
根本まですっかり彼女の中に収まってもなお彼は下腹部を彼女に押し付けられるようにしてさらに深くまで侵入しようとしてきた。
それが子宮の入り口を鮮烈に刺激し、それだけでオーガズムに達してしまいそうなほどの快感をもたらす。
「だめ、いい…すごいっ!奥まで…」
ハッ、ハッと浅く胸で息をしながら俊輔の顔を見ると、ふと目が合った。
どちらともなく唇を重ねる。
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(心がとろけそうなキス…気持ちいい…)
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突然の衝撃は、理恵子が彼に身を任せうっとりと目を閉じたその時だった。
「んーっ!んんんんんー!」
俊輔がタイミングを見計らったようにいきなり腰をグッグッと前後に動かし始めたのだ。
塞がれた唇からは嬌声のような唸り声のような、なんともつかない音だけが漏れる。
「んぐっ!んん、んうーっ!」
快感に任せて思い切り声を出したい、喘ぎたい。
それを押さえつけられるとまるで快楽までもが自分の体の中に抑え込まれて蓄積されるような錯覚に陥った。
「んんん、んぶ、ゔぅん」
溢れ出た唾液が顔を濡らし、そのまま下に垂れて髪に染み込んでいく。
絶頂の直前でおあずけをくらった人妻の体は多少声が出せない程度の事はやはり大した問題ではなかったようですぐに再び絶頂の扉のすぐそこまで上り詰めた。
「凄く濡れてるのに痛いほど締めつけてくるね」
そんなに気持ちいい?と彼は私の目をじっと見つめ、激しく腰を振りながら意地悪げに微笑んでくる。
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(恥ずかしいからそんなこと聞かないで)
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(恥ずかしいけど、でも凄く気持ちいいの)
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「ぁああああ!あぁん!」
何かを答えようにも口を開けば出てくるのは甲高い喘ぎ声ばかり、肯定も否定もままならないが少なくとも気持ちいいということははっきり伝わっているだろう。
彼は肉穴の奥をえぐるように腰を引き、押し入れる。
その度にずっちゃ、ぬちゃっ、と淫猥で下品な水音が部屋に響いた。
「くぅっ…ん、んふっ…んー…っ」
そろそろ限界だ、そう俊輔が感じた頃、タイミングを合わせたように理恵子の膣が激しく痙攣しながら締まり絶頂が近いことを主張してきた。
「理恵子…一緒にイく…?」
彼女のじっとり濡れた髪をかき分けながら耳元でささやくと、先ほどとは違ってすぐに答えが返ってきた。
答えはもちろん「イく、一緒にイく…っ!」
その囁きの次の瞬間、彼はラストスパート、と言わんばかりに激しく腰を打ち付けてきた。
玉のような大きな汗が彼女の上にボタボタと落ちたが、二人共それを気にはしなかったし気にする余裕もなかった。
ただただ下半身が蕩けてしまいそう なくらい気持ち良い…。
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「ああっ駄目…イっちゃ…あぁぁぁ―……」
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全身をブルブル震わせて悶え彼女が絶頂を迎えた瞬間、彼自身もぐっと二回りほど大きく膨らみ薄いゴムの膜の中へ精を放った。
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「おかえりなさい、あなた」
その日の夜、あと少しで日付も変わるかという時間に彼女はいつものようにどこにでも居る普通の主婦の顔を被って夫を出迎えた。
きれいな部屋に夕飯の用意、お風呂も沸かして…
「ごめん、食べてきちゃった」
「あら、そう」
「さっとシャワー浴びて寝るよ、明日も早いんだ」
理恵子は風呂場へ向かう夫の後ろ姿を見送りながら唇だけで薄く微笑んだ。