「じゃあ、今日はもうこの辺にしようか。時間も丁度良いし」
そう言うと、美玲は帰る支度を始めた。
賢治は
何だかソワソワしている。
落ち着きがない。
不図、賢治はその場に立ち上がると、斜め後ろで鞄に色々詰めていた美玲の方を向いて、ガバッと抱き付いた。
二人はそのままドサッと倒れて、美玲が顔を上げると、賢治が鼻息を荒くして、四つん這いに彼女の事を見下ろしていた。
………
………
一瞬間の沈黙が流れて、賢治は美玲に唇を重ねた。
カサカサして皮のめくれた唇が、美玲の口紅で赤く染まった、薄い唇に力強く重なる。
美玲は反射的に両手で賢治を押し上げて、逃げようとしたが、力では勝てず、直ぐに捕まってしまった。
賢治は野球部だった。
「何してるの?離して!」
美玲は暴れたが、両手首をガシッと掴まれて、それを頭の上で押さえつけられた。
「賢治君、や、やめて、離して!やだ!んんん!」
賢治は再び美玲の半開きの口にキスをして、舌を入れた。
彼の唾液で濡れた舌が、無遠慮に彼女の口内を犯してくる。
美玲は足で賢治の股間を蹴った。
「ん!」
と賢治は舌を引っ込めて、手を股間に当てて横に転がった。
美玲は側に転がっている鞄を拾い上げ、部屋から逃げようとドアに向かって走った。
しかし、賢治は素早く起き直って、美玲を
彼女はスカートを履いていた。
賢治は美玲の肩を掴み、自分の方に向けると、壁に押し付けて、三度目のキスをした。
今度は舌を入れられない為に、口を
そして彼の頬を限りなく強い力でビンタした。
賢治は少し
その時の彼の顔は、病的で恐ろしかった。
「なんでこんな事するの!」
美玲は倒れたまま、同じく頬に手を当てて、そう言った。
賢治は横座りで震えている美玲の目の前に立ち膝をして、グッと顔を近付けた。
美玲はキスをされると思って、無意識に口と目を閉じた。
しかし彼はキスをしなかった。
「先生、俺の事、好きでしょ?」