ある夜、私のスマホに差出人不明のメールが届いた。
本文には短いURLと、九つの文字だけが入力されている。
普段ならこんなもの、迷惑メールとしてすぐに削除して終わりだ。
けれど私がそのメールに興味を惹かれたのは、URLが有名な動画サイトのもので、悪質なサイトへの誘導とは思えなかったから。
そして何より、タイトルがドキッとするようなものだったからだ。
「自分を壊すオナニー?これって……」
以前、偶然訪れたサイトで目にしたことのある言葉だった。
確か自分が壊れちゃうぐらい激しいオナニーをするという意味で、略して「自壊オナ」とも呼ばれていた。
やり方や体験談は書かれていたが、紹介されていた動画は削除されてしまったらしく、見ることが出来なかった。
「体験談とか読んで、すっごいえっちだなって、ドキドキしちゃったんだよね……」
私はごくりと唾を飲み込み、もう一度URLを確認し……誘惑に負けてそれをクリックした。
ブラウザが立ち上がり、ぱっとサイトが映し出される。
そのサイトは思った通り有名な動画サイトで、ウィルスの可能性を捨てきれなかった私は、ほっと胸を撫で下ろした。
真ん中に表示された動画のサムネイルには、私と同じ歳くらいの女性が映っている。
端っこに表示されている現在のViewer数は二桁だった。
けれど、どんどんと数が増えているので、そう経たないうちに三桁を超えるだろう。
「結構見てる人いるんだなぁ」
私はドキドキしながら、動画の再生ボタンを押す。
『やり方見ながらやったほうがいいよね……』
動画の中の女性は、どこかに立て掛けたスマホで動画を撮っているらしかった。
動画を撮りながら、なにか参考になる動画を同時再生するつもりのようだ。
『わ、何度見ても……すごい』
女性は興奮したように頬を赤らめ、立ったまま大胆にもショーツを脱ぎ捨てた。
短いスカートの裾はぎりぎり女性の下半身を隠してはいるが、少しでも腰を突き出せば、全てが見えてしまうだろう。
『まずはこうやって……大きなバイブを奥まで……ンッ』
女性は艶めかしい声を上げながら、取り出したピンク色のバイブを自ら挿入し始めた。
目がとろんとして、息も荒くなる。
「え……すご、あんなの挿れちゃうんだ……」
私はドキドキしながら、動画の女性がする行動や仕草を見守る。
女性はホテルやスタジオにいるのではなく、普通のワンルームにいるらしかった。