恋のはじまり

19歳の白雪姫

あたしはまだ、初体験したことがない。

学生時代は女子校しか通ってないから、

男性との接点がまるでなかった。

だから社会人デビューが待ち遠しくてたまらなかった。

そんなあたしは今年で社会人デビュー目指して早二年。

気が付けば明日で20歳になる。

毎日彼氏候補の電波をキャッチしようとチャンスをうかがうも、そう簡単にはなさそうだ。

 

「あーあ‥‥‥今日で10代最後なのになぁ」

勤め先の給湯室で、帰宅のロッカーでそうつぶやいた。

すると先輩の安藤桜子あんどうさくらこさんがニヤニヤしながらあたしのところへ来た。

「ねぇねぇ朝比奈あさひなちゃん」

「はい?」

「今日の夜空いてる?」

「は、はい!」

「良かったぁー。あたし夜に飲み会行くんだけど行かない?」

「あ、え、い、行きます!!」

やったー!!
………

………
「おい待て」

そこへ割って入ってきたのは男性上司の池田いけださん。

「こら安藤。おまえまだパソコン資料が完成してないぞ」

「やだいけやん。ここは察して見逃して?」

「上司に向かっていけやんってなんだ」

「だって今日は朝比奈ちゃんの最後の10代なんだよ!?それを置いてけぼりにするの!!??」

「‥‥‥はぁ。飲み会には間に合うように俺も手伝うから、早く仕上げるぞ」

「あ、あたしも手伝います!」

「主役は黙ってろ」

池田さんはあたしにデコピンをする。

「やだーいけやん王子様~」

「気持ち悪い事言ってるとクビにするぞ」

そんながやがやとした二人は事務所に消えて行ってしまった。
………

………

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