「なんでいんの?」
久々の帰省に、
「……一応、私の家でもあるんだけど」
「はっ」
と鼻で笑う。
「だとしても、盆正月も帰って来ないで、いきなり連絡なし帰省とかあり得なくね?」
………
………
昔から、この血のつながらない弟は私の痛いところをつくのが上手い。
「わかっているよ……」
義弟は、義弟にとっては
比較して、私は。
義弟……
同じ空間にいるのも、10年経った今でも気まずいくらいだ。
実の父への義理建などではなく、単純に、距離を積めることができない。
智のお父さんが、お母さんの「彼氏だった」うちはよかった。
智と一緒に遊ぶこともできた。
二つ年下の智は、出会った時から生意気だったけれど、私を
でも、「今日からパパだからね」と突然言われた日……
当日10歳の私は、訳もわからず否定してしまった。
母は何度も、私が父の存在を口に出すことを拒んでいたように思う。
記憶に残る父は、気難しくて
決して『理想的な良いお父さん』じゃなかったのは事実だ。
それでも私は新しい「パパ」の存在を
………
………
「いい加減にしてよ。
うんざりした母の顔は……
知らない人に見えたんだ。
吐き捨てるように続けられた瞬間、
「本当のお父さんに会いたい」と言ってしまった。
その日、母から食らった強烈なビンタと、智のお父さんの苦笑い、そして……部屋から追い出された私に
「バカじゃねーの?」
と、わざわざ言いに来た智。
「お前の前の父親って、お前のこと全然大切になんてしてなかっただろ」
本当に、智は、私を正論でぶん殴るのが上手なのだ。
………
………
………
あの一件から、智と私には溝ができたのだと思う。
智は私をゲームに誘ったり、なにかと話かけてくれたけれど、あの一言がどうしても消化できなくて、どこか上の空だった。
「じゃあもうずっとうじうじしていろよ!」
とキレたのだって、仕方がなかったかもしれない。
決定的に