あたしは疲れていた。
周囲なんて気にしていなかった。
でも職業柄そうはいっていられない。
「ミクちゃん。いい?」
そう、これは仕事だ。
疲れた。
なんて言ってはいけない側だ。
「いいですよルジュ様。お好きなように」
あたしは遊女だ。
仕事相手に股を開いて受け入れるお仕事なんだ。
これが正しい現状。
これ以上なんて、望んではいけない。
「ぅ………ミクちゃん、気持ちいいね」
「はい」
だんだんとルジュ様の呼吸は上がってくる。
絶頂を迎えそうなのだろう。
こんなこと、客観的に考えられるほどな存在のあたし。
いやだな。
たまにはあたしも心から気持ち良いなって、
誰かと言い合いたい。
けど今は違うんだ。
ごめんなさい、ルジュ様。
「あぁ……いくっ」
そうしてルジュ様はあたしの中で果てた。
…………
…………
…………
「ほら指名だよ!ミク!」
次のお客様がいらっしゃった。
「よろしくな、ミク!」
そこにいたのは
「え………」
昔に一度出逢ったことのある男性。
確か…………
「俺のことはハルと呼んでくれ」
あ、違った。
「早く中に入れてやりな!ハル様、ごゆるりと」
「はい」
プレイ室に入るとハル様はドカッと椅子に座った。
そこからはあたしがよく知る人だった。