神様は不公平だ。
世の中には、テレビに出るほどのとびっきりの美人もいれば
そこまでではないけれど、クラスの中にいると何故か華やかで男子から人気がある女子。
ごくごく普通で、当たり障りなく女子からも男子からも人気がある子。
頭がよくて先生から好かれている子。
そして、どの層にも値しない、地味なグループ。
そう、私は、笑おうが泣こうが誰も気づかないくらいのずっと地味な存在だった。
長い黒髪は野暮ったく飾り気のないゴムで縛っただけで
自分のような地味な人間が雑誌のモデル達のように巻いたり編み込んだりなんて
到底出来るわけもなかった。
そもそも、考えたこともなかった…といったほうが正しいだろう。
メイクどころか基本的なケア…化粧水をつけたり、
眉の手入れをしたりなんてこともしたことは無かった。
俗に言う『美』というものを意識することすら許されないのだと思っていた。
“恋をすれば女は変わる”
などというどこかの安いファッション誌のような
そんな私を
私にとっては、地球が360度回転する…それくらいのパワーを春馬はくれた。