大輝の家に着くと、お姑さんが出迎えてくれた。
「お久しぶりです」
と頭を下げる私を見て、お姑さんは顔をしかめた。
「大輝、恵さんは体調が悪いんじゃないの?恵さんは無理に連れてこなくてもいいと言わなかった?」
私は大輝を見る。
「いや…。恵がぜひ来たいって、母さん達とうまくやりたいからって」
大輝はしどろもどろだ。
思わず「はあ?」と言ってしまった私に目を向けて、お姑さんはため息をついた。
「大輝、車で来てるのよね?井原さんが座布団を貸してくれる約束なの。受け取ってきなさい」
「恵と行ってくるよ」
大輝は私の腕をつかむ。
「あなた1人で行きなさい」
お姑さんは、あくまで冷静だ。
私にはやや横柄なくせに、お姑さんには逆らえないのか大輝はおどおどしながら私を見る。
何か言いたげだったけど、お姑さんから
「早く行きなさい」
と言われると、大輝は私から手を放してショボショボと出て行った。
「恵さん、ごめんなさいね」
お姑さんはそう言うと、私に家に上がるように促した。
私は何だか不思議な気持ちでお姑さんの後に続いた。
「居間も応接間もごった返しだから、台所でごめんなさいね」
お姑さんはそう言いながら私にお茶を出してくれた。
「ありがとうございます」
お姑さんは優しい笑顔を私に向ける。
冷たい人だと思ってたのに、彼女の笑顔を見ていると何だかすごく温かい気持ちになる。
「あのね、恵さん。不愉快だったら無理に話す必要はないんだけど、大輝に苦労してるんじゃない?」
私の向かいに座って、お姑さんが尋ねる。
私は言葉に詰まった。
「あの子、その…夜の方、かなりひどいんじゃない?」
私は一瞬迷ったけど、頷いた。
お姑さんは「やっぱり」と呻いた。
………
………
「下品な話しをしてごめんなさいね」
「いえ…。でも、お母さんはどうしてそう思ったんですか?」
「大輝はね、昔からその方面が特に異常だったの」
大輝は小学生の低学年辺りから既に性に興味を持っていたらしい。
年頃の少年が心の成長と共にその方面に興味を持つのは普通と、お姑さんとお
大輝の性欲はどんどん大きくなり、ある時よその家の庭に干してある女性用肌着を盗もうとしている現場をお舅さんが見つけて押さえつけた。
家に連れて帰ってお舅さんからかなり怒鳴られ、それ以後はおさまったと思っていたら、大輝は実の妹の下着を盗み始めた。
それどころか妹さんを見る目がおかしくなり、とうとう襲おうともしたとのこと。