原因はわかってる。
それは両親の死別。
そこで生まれた責任をあたしは一生かけて受けようと思った。
と同時に心に染みついた赤い線を断ち切ろうとした。
けど、至は何も知らない。
だから至を外に出しては怖いと、
また家族を失うのではないかと感じて、
束縛がひどくなったと自分でも思った。
「………あ、アレ忘れてた」
調理している間に、料理に入れ忘れた調味料があった。
台所の上の棚から、ある小瓶を出した。
紫色と青色の混ざった、きれいな色をしている小瓶。
上の蓋を取って、調理しているひじきの煮物に数滴たらす。
よく絡ませて、出来上がった。
料理を盛り付けてお盆に乗せ、監禁室に向かう。
鍵を開けてドアを開くと、至は眠っていた。
「至。ごはん食べよう」
「ん…………」
可愛い。
なんでこんなに可愛いの?
「そういえば、前の彼女からLINE来てたよ。逢いたいって」
ご飯を盛り付けている間に話す。
「もう………他人だから。家族はお姉ちゃんだけだから」
「そう?はいどうぞ」
「いただきます」
それを眺めるあたしは最高に幸せ者だ。
このことに気付いたのは、至に彼女が出来たから。
それまであたしは至を拒否し続けていた。
両親が死んでから、あたしは至を見るたびに両親を思い出して泣いてしまう日々。
それが嫌で至から逃げていた。
けど、LINEは継続していた。
至を想うたびにあたしは身体が寂しいことに気付いた。