なかなか埋まらない穴を、誰かとのセックスで埋めようと必死になる。
けど、どんなにセックスの間でも、
至が熱を出したとか、学校をさぼってるとか、
至に何かしらのことがあればすぐに駆け寄る。
歴代の彼氏とセフレからは異常な愛情だと言われたこともあった。
また、本気で誰かを好きになって、忘れられない人がいるんだと指摘もされた。
何もわからないまま月日は流れ、
社会人になった至は、身長もがぜん高くなり、
いかにも男性!という身体つきになった。
見た瞬間にあたしは気づいた。
―あぁ、あたし、至が………
そう。
今まで本気なんかなかった。
ずっと至だけが本気で好きだったんだ。
………
………
気が付くころ、あたしのマンションに至が転がり込んできた。
どうやら職場があたしのマンションから近いんだそう。
だから引っ越しするまで住まわせてほしいと言われた。
心から嬉しかった。
だから今まで寂しい時やセックスしたい時に来ていた男性とは縁を切った。
これで満たされるのかな…………?
ただ近くにいてくれるならってあたしは純粋な気持ちで一緒に住むことになった。
それから一緒にいる空間が、昔を彷彿させた。
明かに違う点はある。
両親がいること?
いいえ違うの。
至を“男性”としてしか見れなくなったこと。
焦りつつ、自分の気持ちを受け入れられず至から逃げる日々に変わった。
違う意味で感づいた至は、部屋の鍵を返すと言って
あたしに背を向けた。
これほど悲しいことは他になかった。
思わず全身で泣いた。
泣く姿なんて見たことがなかった至はすぐに駆け寄ってくれる。
―これって、なに?
―この感情はなんなの?