私とアキちゃんも両親に結婚反対されてた。
反対してたのは私の両親だけど。
反対理由は、アキちゃんのお母さんが「女なのに会社を経営して成功してるから」。
私の父は偏見の塊が服着て歩いてるような人間で、母は父のイエスマン。
父は何が何でも「女が優秀」を認めない男。
父の実家は、ひいおじいさんの代で会社を興した。
その会社を継いだのは男のおじいちゃんだけど、おじいちゃんから会社を継いだのは父の妹。
叔母は昔からとても優秀な人。
人格者で、人をひっぱる力がある。
それで後継者に選ばれた。
父にはそれが不満らしい。今でも愚痴を零す。
「俺が長男なのに。妹が横取りした」とか。
おじいちゃんは、元から父に継がせる気はなかったみたいだけど
それで優秀な女が嫌いになって、アキちゃんのお母さんのことをボロクソに
「体で会社を大きくした」なんて。
もちろん、私とアキちゃんの結婚なんて認めるわけがない。
イエスマンの母は父に逆らわない。
………
………
そんな時、縁があってヤっちゃんと会う機会があった。
ヤっちゃんと私の境遇は似てる。
なら、偽装結婚するかって。
実はヤっちゃんと克哉さんの交際を反対してるおじいさんは、先が長くない。
おじいさんが亡くなれば、後継者はヤっちゃんのお父さん。
そしたら、ヤっちゃんは恋人と一緒になれる。
おじいさんが生きてる間に強引に駆け落ちしても、探される危険があるらしい。
だから、お父さんが後継者になるまでの間、私と結婚してカムフラージュ。
結婚の間、私は専門学校とかいろいろ通って勉強。
費用はヤっちゃんが面倒みてくれてる。
「迷惑かけてるから」って。
父のつまんない主張「女に学歴は必要ない」のおかげで、私は高校すらろくに通えなかった。
大学なんて行けるわけもなかった。
一生懸命勉強して、アキちゃんが将来独り立ちする時に力になれるように頑張るんだ。