ラブラブ

「察してちゃん」の姑…

夫である志信しのぶと結婚して早5年。

またこの時期がやって来た。

恒例の年始年末旦那実家訪問。

この訪問は通過儀礼的なもんだけど、姑と同居してくれている志信のお兄さん夫婦を休ませる意味もある。

私達夫婦と志信のお姉さん夫婦が実家に行っている間、お兄さんの奥さんの家にお兄さん夫婦は束の間の休息を取りに行く。

そしていい年してエッチ大好き姑に私達のエッチを見せつけて、悔しがらせるのだ。

………

………

この5年間、私には変わらない気持ちがある。

それは志信のお母さん、私の姑にあたる人が嫌いを通り越して存在を認識したくないほど鬱陶うっとおしいということ。

志信のお母さんは美人ではないが、外見だけで言えば儚げで淑やかな女性。

しかし実態は極度の察してちゃんプラスかまってちゃん。

いつもお姫様扱いをされたがり、常に自分は弱い人間だということをアピールすることに余念がない志信もだけど、志信のお姉さんとお兄さん(どちらも既婚)も実の母親を嫌っている。

特にお姉さんは同性のうえに長子ということもあってか、昔から何かと迷惑をかけられていたと聞いた。

結婚当初は、私は何とか姑とうまくやっていこうとした。

実子からもその配偶者からも疎まれている姑を気の毒に思う気持ちがあったし、何より私自身が昔から人とうまくやっていけない人間だから。

子供の頃、うまく友達が作れなかった私をひっぱってくれた親友の紗月さつきみたいに、私も誰かをうまくひっぱることができたら…。

と思ったんだけど、姑を知れば知るほど「あ…。無理…」ってな気持ちになった。

姑はとにかくしてほしいことをはっきり言わない。

例えば「テーブルにあるソースに手が届かないから取ってもらえる?」程度のことも言わない。

「ああ、ソースがないわ…。困ったわ…。どうしよう…」なんて、ずっとクネクネしてる。

誰かがとってくれるまでずっと「困ったわ…困ったわ…(クネクネ)」

志信とお姉さん夫婦とお兄さん夫婦はめんどくさいとばかりに知らん顔してた。

私も最初のうちは姑がはっきり言わなくても、察してあげてたけど。

腹が立つのはお礼を言わないこと。

いや、別にお礼言ってほしくて親切にしてるわけでもないけどさ。

人としてどうなのと思うよね。お礼は言わないけどこちらが用事をしてあげたら、姑はいつの時代の少女漫画の絵だってくらいのウルウルした目で微笑みながらこっちを見る。

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