ラブラブ

私達の初めての夜

彼とお付き合いを始めてから、今日でちょうど一年になる。

二歳年下の彼――

文也ふみやとは幼馴染で、付き合うようになってから知ったことだが、随分と長い間私を想っていてくれたらしい。

整った顔にすらっとした長身で、たまに見せる甘い笑顔がかわいいと、女子からの評価はすこぶる高い。

モテるのに何で彼女いないんだろ?

と、鈍い私はずっと不思議に思っていたものだ。

私は数人の男性と付き合って、よくある理由で別れて、半年前フリーになった時期があった。

その時、思いつめた顔で私の部屋を訪れた文也は、頬を真っ赤にしながら私に

「ずっと好きでした」

と告白してくれた。

私はびっくりして椅子から落ちた。

慌てて私を助け起こそうとする文也を見上げながら、私の脳内に浮かび上がった言葉は

「今さら幼馴染と付き合うとかあり得なくない?」

だったり、

「いつから私のこと?」

だったり、

「考えたこともなかった」

だったりしたが、同時に

「ありかも」

でもあった。

そうして、じゃあ付き合ってみるか……という運びになった。
………

………

………
結果、私は現在進行系で文也に夢中である。

無意識だっただけで、私も昔から彼のことが好きだったのかもしれない。

――が、片思い歴が長すぎて、私に対しても女性に対しても奥手に育ってしまった文也は、

キスしてくれるまでに半年かかった。

私はと言えば、もっと文也とキスしたくて、それ以上のことをしたくて、

でも自分から言うことも出来ずに一年耐えた。

今日はその末にやっと迎えた、初夜なのだった。

 

部屋の隅に一つだけ灯された灯りが、ゆらと揺れ、目の前で正座をしている相手を照らし出す。

緊張した面持ちで俯いている彼は、項まで薄らと紅い。

「文也、あのっ」

「は、はははい!」

彼はぎくしゃくとしながらも、向かい合って正座している私ににじり寄った。

シーツの上、膝頭ひざがしらが触れ合う。

たったそれだけの事で、ドッと汗が噴き出す気がした。

赤面して膝の上で拳を握った文也を見上げながら、私は以前からの決意を口にする。

「今夜はっ、私に……私に任せて」

「え、え!?な、夏美なつみ、え、どどどういう……」

私はぐ、と彼の手を掴み、そのまま自らの唇へとあてがう。

1 2 3 4 5 6 7 8
RELATED NOVEL

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。