‥‥‥
‥‥‥
エレベーターから降りて、あたしたちは近くのコンビニにあるイートインスペースにて一息つく。
あたしは「コーヒー買ってくる」と言って逃げようとしたが、用意周到と言わんばかりにペットボトルコーヒーが手元にあった。
なんの話をするんだろうか。
第一あの場でなんで上司のあたしにタメ語とか‥‥‥。
いや50歩譲って‥‥‥も許せん!!!!
「山―‥‥‥」
これから物言いしようとするが、気が付けば山部くんがいなかった。
慌てて周囲を見渡せば、泣いている男の子と手をつないでいた。
「あ、すみません編集長。少し逃げないで待っててください」
「‥‥‥あ、ぁ」
‥‥‥ふーん。山部くんもああいうところあるんだ。
黙ってみていればどんどん周りに人が集まってくる。
最初は泣いている男の子と、次は道を聞きたがるご老人、
レジの女の子に関しては目をキラキラとさせて山部くんを見つめている。
これは天然物の垂らしだわ。
思わずあたしはフッと笑ってしまった。
なんか、なごむなぁ。
「‥‥このままじゃアイツのペースに飲まれるわ」
あたしは眺めることをやめて、一人で帰ろうと店を退出した。
歩いているとなんだか無性にさみしさを感じる。
暗闇を歩いていることもさみしくて仕方がない。
なんとなく、いつもの道ではなくて華やかな道を通ることにした。
そして考えてみた。おばあちゃんが亡くなったら、あたしはどうすべきか、と。
………
………
「あ、おねーさん、暇?」
突然話しかけられた。どう見ても年下だし、ホストみたいな感じ。
「忙しいので。」
「だって悲しそうな顔して歩いてたからさー」
「そんなことはありませんので失礼します」
交わそうとするも歩く道をついてくる。
何度も何度も声をかけられて、さすがに切れるあたし。
「しつこ‥‥「由香!!!」」
!?
あたしを名前で呼ぶとか誰!!??
そこにはさっき店に置いてきたはずの山部くんがいた。
「なに、こいつ」
かなり笑顔で相手を見るも、その迫力に負けてホストのような声掛けしてきた男性はいなくなった。
「編集長なにやってんの?」
「は!?」
「こんなところ歩いて、なに、ナンパされたい年頃?」
「アンタよく上司に向かって‥‥‥」
「俺が来なかったらどうしてた?」
「キレイに避けるわよ」
「じゃぁ今のは?どうせいつものきれ技で怒ってハイ終了?」
なんなの‥‥‥こいつ!!!!
「あっそう!だったらなに!!?」
あたしは不器用ながら逆切れ?してみる。
だって本当に腹が立つ。
そうやって怒りだしてしまった。