すると山部くんは怖い表情に変わって、いきなり手をつかまれて走り出す。
どこに行くのか聞くけど話してくれない。
次第に向かっていく場所でこの後どうなるかを、あたしは察した。
繁華街の、あまり行った機会がない、ラブホテル。
!!!???
なんなのーー!!!!???
そそくさと会計を済ませては部屋に入っていく。
怖いよ。どうしよう‥‥‥あたし年上なのにここで泣くとか余計やばいけど。
でもでも、怖い―‥‥。
部屋に入るなり唇を奪われて、あたしはそのまま服を脱がされる。
「んむ、っ!!」
抵抗しようにもまったく歯が立たない。
山部くんの胸をドンドンと叩くけどお構いなし。
次第に舌が侵入してきて、激しいディープキスになる。
裏の歯列を舌先で撫でられれば、なんだか変な気分になった。
するすると服はあっという間にあたしの肌から落ちていって、
恥ずかしい格好になった。
「!」
胸を下から上へ揉みだされれば、身体の芯が熱くなる。
あっという間にベッドに組み敷かれて、あたしはまったく抵抗が出来ない。
声を出したいけど口はふさがれている。
パンツをまさぐられて、気が付けば濡れてもいない膣内に指が入ろうと動かれた。
「‥‥‥!」
あたしは泣いていた。
それに気づいた山部くんは身体を離した。
「へ、へへへへ、編集長‥‥‥」
「‥‥‥」
「ごめん、なさい‥‥‥」
「この‥‥‥ばかぁ!!!!!なんなの!?あたし年上だし上司だし!なんで泣かされなきゃならないの!!??ばか!!!!!」
「お、抑えて‥‥‥」
「もういい!今日は徹夜で記事書かせてやる!!」
あたしは山部くんが運んでいたバッグを開いて、小さいタブレットサイズのパソコンを開く。
もちろん、涙を流しながら。
「‥‥‥編集長」
「なに!!静かにして!!」
「由香さん」
「誰が名前を‥‥‥!!」
振り返ったら、ニヤニヤしている山部くんがいた。
「俺のこと、どう思いますか?」
「は?」
「男として」
「‥‥‥返答に困る質問はしないように」
「ここは職場じゃありません」
「あたしがパソコン開いてるときはいつも職場なの」
「ならこれで‥‥‥」
するとパソコンを閉じられた。
………
………
「離して!!」
「いやですー。」
「クビにするわよ」
「それはあとで決めて♪」
笑って笑顔でまたキスをされた。
今度は触れるだけのキス。
あたしは目を見開いてしまう。
「可愛い。好きですよ、由香さん」
「よくもまーそうそう言ってられるわね」
「本当だし。だからあんまり木村さんろ絡まないで」
「?なんで」
「あの人絶対編集長に気があるから」
「ははは」
冗談でかわそうと思いきや、無理だった。
冗談で笑おうとしたけどガチで笑ってしまう。
それを見た山部くんは、じっとあたしを見つめる。
あたしは‥‥‥許してしまった。