最近読んだ、ひいおばあちゃんの書き残した内容が忘れられない。
私の一族に関係するある悲しいお話。
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私の本当のひいおばあちゃんは、私が生まれた時には既に亡くなっていた。
と言うよりも、ひいおばあちゃんは双子を産んでから2年後に亡くなったそうだ。
その
大好きなひいおばあちゃんだった。
それだけに、彼女が本当のひいおばあちゃんじゃなかったと知った時はとてもショックだった。
義理のひいおばあちゃんが亡くなる前、彼女は私を枕元に呼んで2冊のノートを渡した。
1冊は新しいノート、もう1冊はノートと言うより紙を束ねたとても古いものだった。
古い方は黄ばんでいた。
「彩ちゃんにこれを渡しておきたいの。私が
義理のひいおばあちゃんはその日のうちに容体が悪化して、翌日には亡くなった。
葬式などでバタバタして、私は例のノートのことを忘れていた。
初七日が過ぎて少し落ち着いた頃、私はノートの存在を思い出した。
古いノートを広げてみると、流れるような美しい文字が書かれていた。
達筆過ぎて私には読めなかったが、義理の曾祖母が書いただろうノートの文字はきれいだが私でも楽に読めるものだった。
どうやら古いノートの内容を、読みやすくしてくれたもののようだった。
私の本当のひいおばあちゃんの名前は
家が貧しくて尋常小学校を卒業できても、それ以上の教育を受けることは無理だった。
しかし八重子さんは勉強が好きで、成績が良かった。
進学を勧められるほどだったらしい。
だが家庭に事情でそれは不可能だった。
そんな時、八重子さんを嫁にくれるなら進学の援助をしてもいいという一家が現れたらしい。
当然八重子さんの両親は大喜びだったのこと。
しかし当の八重子さんは嫌だった。
高等学校卒業後の結婚相手として紹介された男性は、八重子さんより一回り近くも年上。
さらに顔も八重子さんの好きなタイプではなかった。
とは言え、時代が時代。
八重子さんが両親の決めたことに逆らえるはずがなかった。
八重子さんは女学校へ行かせてもらえたが、卒業後のことが心に重くのしかかって学校生活をそれほど楽しむことができなかったらしい。