不倫・禁断の恋

二人っきりの混浴情事

仕事と恋愛の疲れで現実逃避の一人旅

高校を卒業して大学に進学することなく、すぐに出身地の千葉県木更津市を離れると、某食品製造メーカーに就職して4年目。

東京都内にある小さめの規模の会社ではあったけど、高卒でも何とか就職が叶い、生きるために毎日一生懸命働いていた。

会社では商品開発部に所属し、夜遅くまで試行錯誤しながら新しい商品を作る日々。

一方、自分磨きも恋愛のためにしっかりと怠らなかった。

自慢ではないが、中学や高校ではクラスのマドンナと言われていたのだ。

そんなクラスの男子みんなの憧れの的だった容姿を持っていた私は、これまでの人生で一度も彼氏には困ったことがない。

しかも、歴代の彼氏はみんなモデル並みのイケメンばかり。

私には男性選びには外せないこだわりがある。

それは、唇がキレイでキスが上手な人だ。

エッチをする際にたくさんキスをしてくれないと、あとで地団駄を踏むぐらいだ。

ああ、今度の男も長くはないかもな・・・と思うくらい、それほどキスに目がなかった。

しかし、そんな私がキスによって人生を変えられる節目が来るなんて、まだその時は、知る由もなかったのです。

ある日、会社に同期入社して大の仲良しだった友だちと、一緒に新宿にある居酒屋で食事をしていた時でした。

たまたま隣によく知る取引先の女性がいて、彼女と一緒にいた名前が狭山秀平という私より1歳年上27歳のその男性と意気投合。

そして、私はそのままその秀平君と恋に落ちてしまったのです。

ただ、彼は名古屋出身で出張で東京に来ていたので、仕事が終われば毎回名古屋に帰ってしまう。

所謂遠距離恋愛というやつである。

週末はもちろん、時間がある時は平日でも会いに行き、早朝の新幹線で帰ってくる。

彼が仕事で東京に来る時は、私がお気に入りの美術館でデートをする。

そして、各展示場に鑑賞者がいなくなったタイミングを見計らってキスをする。

私にとってキスが彼への愛情の証だった。

それほど彼に入れ込んでいたのだ。

私が彼に会いに名古屋へ行った時は、彼はなぜか自宅に泊まらせてくれなかった。

実は、ちょうど別れ話の最中らしいが、彼には付き合っていたまだ彼女がいたからだ。

だから、いつも近くのホテルが定宿になっていたのです。
 
毎回セックスを終えると、ホテルの部屋の玄関で最後に淡いキスを交わす。

その後、彼はタクシーに乗って自宅に帰るのだ。

わかってはいたが、残念ながら、彼との関係は長続きせず、あっけなく終わった。

最後のキスは路上だったけど、後にも先にもこんな味気ないキスはしたことがない。

私も何とか繋ぎ止めようと必死に彼の唇にキスをしたが、彼は両手で私の肩をつかんで、突き放されてしまった。

そう、私は名古屋の女に負けて秀平君にフラれたのだ。

その失恋の日以降、特に何も目標もなくなった私は、仕事にも身が入らず、毎日のように上司に怒られてばかりで、心身ともにとても疲弊した状態だった。

私は心底打ちのめされていた。

秀平君は私を捨てて名古屋の彼女を選んだのだ。

私の体は呆気なく壊れてしまう。

まるで廃人同然のようになってしまったのです。

命を燃やす恋で本当に燃え尽きてしまったらしい。

さらに、お節介なことに双極性障害という心の病も患ってしまうことになる。

そして、精神的に限界にきていたある日、会社に、

「今日ちょっと熱っぽいので2~3日休ませてください」

と連絡し、気が付いたら着替えを旅行鞄に詰め込んで、いつもの通勤電車とは違う方向の電車に乗っていたのです。

まだどこに行くか決まっていなかったが、体の疲れを取りたいと思い、少し遠出して温泉街がたくさん集まる観光地に向かうことにした。

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