あゆみから話を聞いたその日の午後に、なんと本当に社長の息子は会社にやってきた。
嘘だと思っていたが、社長がかわるというのも本当だったらしい。
やたらと顔が綺麗なその男は、松岡マサシと名乗った。
松岡社長の息子さんで……
まわりがひそひそと話す中、
佳代子は何故か、マサシと目が合ってしまった。
ぱっちりとした二重のマサシの瞳が、じっと佳代子を見つめる。
目をそらそうとした瞬間、マサシはにやっと笑った。
「お前、秘書になれ」
もちろん、佳代子に拒否権はなかった。
秘書になるか、クビになるか、その二択だ
――もちろん佳代子は、首を縦に振った。
振るしかなかった。
………
………
………
それから一週間がたち、新しい社長室の準備が始められた。
マーケティング部にあったはずの佳代子の席は無くなり、
この新しい社長室の隅に、新しい佳代子の席が設置してある。
一体なぜ、自分が選ばれてしまったのかはわからなかったが、
とにかく佳代子は目の前の男の言うことをきくしかなかった。
「佳代子」
「は、はい……」
二人以外誰もいない部屋の中で、佳代子はマサシの顔を見やる。
マサシは、にやりと笑った。
「舐めろ」
「……え?」
「舐めろって言ったんだよ、ほらはやく、クビになりたいのか?」
ソファに腰かけたマサシが、手招きしてくる。
一瞬、何を言われたのかわからなかった。
言われた通りマサシの元に歩み寄り、
ソファに深く腰掛けて足を開くマサシの姿を見て
――そこでようやく、何を言われているのかを理解した。
「え、あの……」
「拒否権があると思っているのか?」
「い、いえ……」
拒否権は、佳代子にはない。
佳代子はぐ、と唇を噛んだ。
「早くしろ」
マサシにそう言われて、佳代子はマサシの足の間にうずくまる――
ズボンのチャックを下すと、ボクサーパンツの上からそっと、マサシのペニスを撫でた。
何をさせられているのか、正常な判断が出来ていない気がする――