マニアック

満員電車~その痴漢にご注意ください

ムカつく上司に気が利かない後輩。

 揚げ足を取らないと生きていけない取引先にコンビニで割り込んでくるオバさん。

 毎日ストレスが溜まることの連続。

 だから、ご褒美だって毎日欲しい。

 でもそんな上手いこと世の中は回らない。

だから、せめて――『ソレ』は自分のご機嫌は自分で取ろうと始めたことだった。

 

『あぁっ……! ん、んぅっ、これ、すっごぉい……じーすぽっと、いっぱいねられちゃう……っ! あっあっあっ、いく、いくのっ、あんっ』

「……っ!」

 私の耳に装着されたワイヤレスイヤホン。

 流れてくるのは、あられもない女性の嬌声きょうせい

 下のお口いっぱいに咥え込んだ大人のおもちゃは彼女の膣内を振動しながら暴れ、気持ちいいところを容赦なく捏ねて、突き上げて、高めていく。

 膣の、ざらざらしたところをぐっぐっと持ち上げ続けるのは自分の指じゃできなくて……

無機質だから与えられる的確すぎる快楽は、文字通り血も涙もあるわけがない。

 女が、強すぎる刺激に深く果てそうになり、恐怖心も相まって身身体をびくびく震わせても、

奥の、むちむちと柔らかくなったソコをくっくっと押し上げながら、外側ではクリトリスを挟みぶるぶるとなぶる。
………

………
 愛液が溢れる度にごぷごぷとお尻へ流れるから、マイクはその愛液がぴちゃぴちゃと泡立つ音すら拾い、

「すげーエロい!」

「ガチのやつじゃん!」

とコメントがついて、投げ銭まで貰っちゃって……。

 思い出しただけで、じんわりと濡れる身身体はこの後の途方もない絶頂を覚えている。

 

 ――そう、この配信主は私だ。

 そして、私は満員電車の中。

見知らぬ男性から私のエロ配信のアーカイブをイヤホンで聞かされている。

(……嘘でしょう)

 ほんの、ストレス発散のつもりではじめたエロ動画の配信。

 視聴者たちから「えっちで可愛い」と褒められると嬉しいし、いいお小遣い稼ぎにもなる。何より、最近はスポンサーが付いた。

 新開発された大人のオモチャを、実際に使用してレビューをするのだ。

これがまた女の泣きどころを熟知じゅくちした良いものばかり送ってくれて、送られてくるのが楽しみで仕方がない。
………

………
 でも、それは日常があるからこその非日常。

 オモチャで身身体をいじめ抜いている時に、男の身身体で暴かれることを想像しても、実際にこうなることを本心で望んだわけじゃない。

(どうしよう……これって、身バレってやつ……)

 胃が冷える。

 目の前が暗くなるほどの焦燥しょうそうは私の膝を震わせて

「……っと、危ない」

 ぐらりと力を失った身身体を抱き留めたのは件のイヤホン男だった。

「大人しそうな顔して、やるねぇ。お姉さん。てか、『エミさん』? えみちゃんねるって本名じゃないよね?」

「……っ! 離して」

「オフィスカジュアルって感じの服装だけど、普段はちゃんと働いているんだねぇ。いっつも激し目の配信だから夜の仕事の人かなって思ってたよ。
あー、清楚系のエミちゃんがいくいく腰へこしてるって思うとちんこやっばぁ……」

 

 彼は、私の身身体を抱き留めたまま私の肩口に頭を寄せ、くん、と鼻を鳴らす。

「ん、いい匂い。シャンプーと、すっごいエロい匂い。いつもこうなの? こんなの『犯してください』って言ってるようなもんじゃん」

「嫌……違う、違うの……っ」

「違わないでしょ。『おちんちん気持ちいいよぉ』っ言いながらバイブ咥え込んじゃうんだもん。本当は本物で犯される妄想ばかりしていたんじゃない?」

「ふ、うぅ……」

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