「大丈夫?阿部さん」
「へ?あ、イケメン王子…じゃなくて、鈴木くん?」
「ひどいな…こんなことするなんて」
元凶のあんたに言われたくないわ!!!
「俺んち近いからおいで。着替えとか姉ちゃんの貸すから」
「いらない!!」
「なんか…怒ってる?当然だよね。いきなり阿部さんに告白したしな」
「返してよ…陸久は鈴木くんが好きでずっとずっと好きで…」
「でも俺はずっと阿部さんが好きだったよ。今までも、これからも」
………
………
そんなこと言われても、異性に免疫がないあたしは顔を赤くするしかできなかった。
別に好きな相手ではない。
けどやっぱりイケメン王子だから、恥ずかしい。
というか信じられない。
「とりあえずおいで。服貸すから」
半ば強引に連れていかれたあたしだった。
たどり着いたのは「鈴木」という自宅の隣のマンション。
鈴木くんのお姉さんは隣に住んでいるみたい。
「姉ちゃん。姉ちゃん」
インターフォンを鳴らして、「はい」と出ると数回名前を呼んだイケメン王子。
がちゃ、と玄関の鍵が開いた。
「はーい、春?なんの……え?」
「え?」
そこに出てきたイケメン王子のお姉さまと対面した。
どこかで見たことのある顔。
どこだっけ……。
「あ、はい、そういうこと。あなたが阿部ちゃん?」
「はい、そうです」
「話は春から聞いてるよー。デレデレに可愛いって」
「姉ちゃん、それは余計だから」
「話は見ればわかる。あがって。あたしの服を貸すから」
「あ、ありがとうございます!」