やっと1日の終わりを迎えた。
今回の新人はかなりおしゃべりがひどい。
集中力とかないに等しいよ!!
「はぁ。やっていけんのか‥‥‥」
「何が?」
隣からすぐ声がしたので、即座に返事をした。
「いや‥‥今回の新人さんは厳しいです。社長に怒られる覚悟も持っておかないと‥‥」
「そうか。なら任せろ」
「え?」
だいたい誰とあたしは話をしているんだろうか。
相手の顔を見れば、あたしは絶句した。
「専務!!!!????」
「おぅ」
「な!!ど!!!」
「なんで、どこから、か?最初からいたぞー」
「‥‥‥‥‥‥」
あたしのバカー!!クビになる!!!
「そうだなー‥‥今晩一緒に食事しない?」
「え?」
「誰かと食事とか久しぶりだなー」
「まだお返事しておりませんが!!」
「なに食べようかなー。あ、ひなちゃんも考えといてね!じゃ、仕事戻るわ!」
あたしの意見はまったく聞いていない様子。
はぁ、と大きくため息をついて、あたしは現場へ戻った。
‥‥‥
‥‥‥
‥‥‥
ただいま時刻は18時56分。
残業少々の時間だ。
なんだかんだであたしは、「残業」と言いつつ専務を待っていた。
「あそこまで話勧めておいて‥あたしはどうすればいいのよ‥‥‥」
パソコンで日報を書いているが、専務が迎えに来る様子はない。
正直お腹が空いているので帰って食事をしたい。
けど話をかなり進めていた専務には、このまま帰宅するのはさすがに出来ない。
あたしは意を決して、専務の現場に行くことにした。
席から立ち上がり、荷物をまとめていると、この辺では見かけない女性がやってきた。
「‥‥‥あ、ひなちゃん!?」
はい、専務関係の人ですね。
この会社であたしを「ひなちゃん」呼びするのは専務関係者以外ないと思ったから、
これが決め手だった。