―そして7年の月日が流れた。
この7年の間に何回転勤したことか。
雅樹たちと離れてから2年はアメリカに。
それからはまた日本に戻っていた。
しかし誰にも教えてはいない。
昔のあの龍也と雅樹に会いたくないからだ。
あたしは変わってしまった。
もう昔の純粋無垢には戻れない。
だから、この身体で会いたくない。
もちろん両親は承知してくれている。
ある日あたしはいつも通り学校に向かっていた。
少しだけ、昔を思い出していると、
角を曲がった瞬間背の高い男性とぶつかった。
「!!きゃ!!」
「ぅわ!!」
しりもちをつきそうになると、男性はバランスよく立ったままあたしを抱きしめてかばってくれた。
「すみません。ありがとうございました。」
「…………いや」
これを経てあたしは学校にたどり着く。
この学校というのは、転勤後、初めて行く学校。
………
………
ドキドキしながら校門をまたいだ。
あたしは背が低いものの、髪は昔と違って短く、色は少しだけ染めてピンク。
目立つだろう。
逆に目立ってほしい。
こうすることで周囲から離れた目で見てもらえるからだ。
高校はそれを徹していた。
効果は抜群に良くて、印象のある友達なんかいなかった。
それでいい。
「初めまして。沖縄から来ました、戸塚芽衣です」
教室で挨拶をすれば、髪色効果で珍しがられた。
「戸塚さんって美人だよねー。沖縄美人??」
「あたし出身は東京なんだ。沖縄はお父さんの転勤に付き合ってるだけだよ」
「そうなんだーー」
それだけ。
あたしは満足した。
ここでならまた、生活ができるんだ。
と。