恋のはじまり

公園で…昔から好きだったあなたと

あたしはその手紙を持ったまま、駆け足で自宅階段を下りて、

お父さんに「出かけてくる」と言い、自宅を後にした。

公園までは約3分の距離。

あたしは全速力で向かった。

遅くてもいい。

帰ってしまったあとでも良い。

何でもいいから、できれば会いたい。

逢いたいんだよ。

公園に着いた。

そこはほぼライトがないところでベンチがまだらにある。

「…………さすがにいない、か……」

あたしは踵を返すと、背の高い人とぶつかった。

「すみません前を見てなくて―………」

そこにいたのは他の誰でもない、雅樹だった。

「あ?芽衣」

「雅樹!」

「わりぃな遅れた。今来てさ、寒いからコーヒー買ってきたところ。芽衣は?」

知ってる。

だって公園のベンチの隣にある空き缶のごみ箱に、

同じコーヒーのごみが入ってるんだ。

あたしは気づけば抱き着いていた。

「芽衣!?」

「………ごめんね。あたし自分ばっかりだった」

「…………」

「そばにいてあげれなくて、ごめん」

かすかに震えた。

あたしは身を放して見上げると、涙をぽつぽつと流していた。

「知ってたのか」

「龍也から聞いた」

「いつだよ」

「先週。手紙があたしに届いたの」

「アイツの葬儀には行ったか?」

鳥肌が立った。

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