これはいつものパターン。
見慣れている先輩店員さんは、またかと言いながらレジの交換をしている。
「唯ちゃんとほんと仲が良いねー」
その会話を聞きながら、あたしは羽織っていた制服を脱いでいる。
「しかもね、ちゃーんと自宅までエスコートしてるのがいじらしいね」
「へーい」
そう。なんだかんだでこのゆうくんこと、
「おい唯、ちゃりかせ」
「やだよ。すぐ乗ってどっか行くし」
幼馴染のあたしと悠太。
昔からあたしは悠太を好きなんだ。
けど悠太はチャラチャラしてて見向きもしてくれない。
でも‥‥‥最近あたしが待ち伏せされたりしていることを偶然知った悠太は、
あたしの暗い中の帰り道を送り届けてくれている。
幼馴染の特権だよね。
あーあ、悠太を一番知ってて、愛しているのはあたしなのに、
なんであたしは悠太にハッキリと言えないんだろうか。
「‥‥‥唯?」
「!!」
考えていたら電柱にぶつかりそうになる。
慌てて前を見れば、悠太が手のひらであたしがぶつからないようにしてくれていた。
こういうとこ、ほんと好き‥‥‥。
「ごめん!」
「いいよー。なんか悩み?」
「‥‥‥あたしさ、実は今、引っ越し考えててさ。」
「引っ越し?」
嘘。
「そうそう。なんかここから離れて自分の力で生きていきたいなって」
こんなの嘘だよ。
「だから‥‥‥ありがとね。感謝してもしきれないわ」
‥‥‥へたっぴ。
涙が止まらない。
これくらいも言えないとか‥‥。
「こっち向けよ。唯」
切なそうな声で呼び止めないでよ。
「今日はここでいいから。じゃ」
「待てって!」
あたしは思い切り腕を引かれて、涙ぐんでるところを目撃される。
情けないよ‥‥‥。
「ゆ‥‥‥悠太にはわからないよ!」
「は!?なんでだよ!なんで泣いてんだよ!!」
「知らないふりしてよ!もう‥‥‥顔もみたくない‥‥‥っ」
そこまであたしはハッキリ言ってしまった。
すると抱き寄せられて、キスをされる。
「!!??」