私とパパは直ぐにその音のする方を見た。
天井に、マイクのようなものがぶら下がっていた。
「あー、テステス。聞こえますか?いやいや、ようやく二人とも起きましたか。全くあなた方の眠っている最中は退屈で仕方がなかったですよ」
男の何処か不気味な声であった。
私とパパは、ごくりと唾を飲んで、握り拳をしながら上をじっと見つめていた。
声は再び何か喋りだした。
「希ちゃんか。いやぁー君の寝顔はとても可愛らしかったよ。うへへへ」
気持ち悪い。
何こいつ。
「お前は誰なんだ!ここは何処なんだ!」
「そんな怒らないで、そこはあなた方が前まで住んでいた家からはさほど遠くはありませんから安心してください」
「何を安心するんだ!早く俺達をここから出してくれ」
「じぁあ、希ちゃんとあなたで、ある事をしてもらいたいんだが」
「何だ、言ってみろ」
「その、あなたは子供を作る時、奥さんとしたと思うんだけど、あなた方二人で」
「馬鹿な事を言うな!」
「いやいや、嫌なら別に結構ですよ、私はあなた方を殺すつもりはないんですから、ちゃんと朝昼晩ご飯を出しますし」
パパは握っていた拳を更にぐっと強く握りしめた。
パパは実直な人だった。
曲がった事を許さない人だった。
嘘だとか、裏切りとか、不貞とか、そんな事をひどく嫌っていた。
パパの顔は真っ赤になっていた。
私はこれ程怒っているパパを見た事はない。
「じぁあねぇー、バイバーイ。あっ、一つ忘れていた。もしやる気になったら、必ずそのベッドの上でしてね、絶対だよ。じぁあ」
「こら、待て!」
パパの大きな怒声が、部屋中に何重にもなって交錯しながら響き渡る。
しかしもう、上からは何一つとして声はしなかった。
私は全く恐怖心がなかった。
そして何だかワクワクしてもいた。
………
………
………
妙な好奇心が、これから起こる事に対する好奇心が、胸の内で踊っていた。
要するに、相手は、私達にセックスをしろと言っているのだ。
そうしたらこの部屋から出してやると。
実を言うと、私はパパとセックスをしても良いと思っていた。
パパとエッチする事に、何ら抵抗はなかった。
それは何故だがわからない。
私は中学に入って間もない頃、夜中にトイレに行こうと思ってパパとママの寝室の前を通った時、寝室から何か声がした。
音を立てないように扉にそっと耳をくっつけると、それはママの喘ぎ声だった。
その頃の私は、年相応にエッチな事に興味があったので、家族の居ない間にパソコンでエッチな動画や画像を見ていたのだった。
私はパパとママに気付かれる事の恐怖心よりも好奇心が勝ってしまって、こっそりと寝室の扉を
枕元に小さな明かりがあって、ママの綺麗な両足の
パパのお尻が、小刻みに動いている。
ママは相変わらず綺麗な声を出していた。
パパのお尻の動きが
そんな二人の激しく愛し合う姿を見て、自然と私も身内が熱くなるのを感じた。
出来る事なら、二人の絡み合うベッドに飛び込んで参加したかった。
しかし私はそっと扉を閉めて、トイレに向かった。