仕事のせいで硬くごつごつした手。
指先の黒ずみは塗料が染みていてもう落ちないと前に話していた、その指先に今まで意識していなかった男らしさを感じて赤面する。
体が熱いのはお酒のせいかもしれない。
「…公園、抜けていこうか。そっちのが近いから」
彼がおもむろに私の手を取って左に曲がる。
行き場のなかった私の手が大きな熱い手にすっぽり包まれて、それだけでまるで少女のように胸が高鳴った。
「今まではさ、彼氏いるから我慢してたんだけど」
広い公園の遊歩道を半分まで歩いた所で彼はそう切り出すといきなり私を抱き寄せる。
ずっと好きだった、そう
細身な割りに見た目以上に筋肉のついた胸板に顔が当たると汗の匂いがした。
背中に回された手に優しく抱きしめられる。
顔を上げると少し気まずそうな顔の彼と目があった。
「…いい?」
無言で
ふわ、と触れるだけのキス。
舌を絡められうっとりする程の濃厚なキスに目を閉じ、いつのまにか私も彼の背に手を回していた。
彼の手が私の髪を撫で、背中、腰へと降りていく。
その手つきがいやらしくて思わず熱い吐息が漏れ白く流れた。
まさか、夜とは言え公園で…?
抵抗が無いわけではなかったけれど、抗うつもりもなかった。
「…もっと触っていい?」
彼の言葉に頷いて、今度は私から誘うように唇を重ねた。
チュ、と軽い音を立てて啄むようなキス。
それを合図に彼の手は一つ、また一つとコートのボタンを外す。
ニットの上から胸の形をなぞるように掌でなぞり、首筋に舌を這わせてきた。
「ん…っ、あ、んん…」
それだけで甘い疼きが下半身に走る。