今日は水泳の授業があった。
だから、制服の下に水着を着て登校した。
これは結構いつでもやることなのだが、今日に限って、替えの下着を忘れてしまっていたのだ。
下も、上も。
「嘘だろ……」
ツいてない、まったくもって。
ぎりぎり、上はブラウスの下にアンダーシャツを着ていたからぎりぎり透けなくて助かっていたのだが、下に関してはどうしようもなかった。
ノーパンに直接スカートをはくしか、なかったわけである。
パンツを忘れているのだから、アンダースコートも持ってきているわけはなかった。
体操服も今日に限って忘れていた。
つまり私は、上も下もかなり防御力が低い状態で過ごさなくてはいけないことになってしまったわけである。
ただ、ぎりぎり幸いなことがあった。
水泳の授業は、六限目だったのだ。
つまり、後は帰るだけ。
今日は部活もない(私はテーブルゲーム部という遊びみたいな部活に入っているだけなのだが)から、授業が終わればすぐに帰るだけでよかった。
一応、人込みを避けたかったから、適当な理由をつけてトイレにこもっていた。
家までは徒歩で帰ればなんとかなる。
しばらくすれば、昇降口までの人込みはかなり少なくなるはずだった。
私は半時間ほどトイレにこもってやり過ごし、様子をうかがって外へ出た。
だが、その油断がいけなかったのだ。
私たちの教室は三階。
昇降口はもちろん一階。
私はゆっくりと階段を下りていこうとした時だった。
「先輩!」
そう言って、三階から二階へ降りる階段の踊り場から、声をかけられた。
佐藤君だ。
「あ、上見ちゃ」
ダメ!
そう言いながらスカートを抑えようとした時だった。
いたずらな風が吹いたのだ。
下から吹き上げるような、いたずらっ子な風だ。
普段ならいっこうにかまわないが(いや待て、パンツが見えるのもよろしくはないが)、今日は何せはいていない。
めくられると、モロで見えてしまう。
押さえないと!
とは思ったが、時すでに遅し。
バサリとスカートの前半分が、綺麗に持ち上げられた。
スカートの後ろ半分が背景になって、きっと私の下半身はとてもくっきりと、たったひとりの視聴者に向けて発信されてしまった。
「あ、ああ、あああ」
真っ赤に染まる佐藤君の顔。
「ね、ねえ、佐藤君」
そして現在に至るわけだ。