そのあとに亮太の携帯は鳴った。
見ると知らない番号から。
「はいはい?」
それから亮太の表情は曇った。
………
………
………
あたしはあれから亮太と逢えないでいた。
いや、避けているのだ。
あたしから。
珍しく亮太はあたしにべったりだ。
けどあたしは本物の愛情を知ってしまった今、何も感じない。
感じさせてくれるのは楠木さんだけ。
彼だけだから…
ここ最近、知らない番号からの着信がひどい。
それを亮太から指摘されて着信拒否に設定した。
それからだった。
話を聞いてもらおうにも桃と連絡がとれない。
大丈夫なのだろうか。
桃のマンションに行こうにも、あまり近場でなく、仕事も忙しいことから会いに行けない。
それから数日後、いつもどおり自宅へ帰っていると後ろに気配を感じた。
しかし振り返ると誰もいない。
怖い。
すると「ねぇ」と声をかけられた。
………
………
振り返ったあたしの目に入ったのは、ほかの誰でもない、桃だ。
そのまた後ろには楠木さんがいた。
「アンタさ、携帯変えた?」
「…へ?いや前から使ってるよ?」
「なんで着拒にしてんの?」
「??」
「あたしと楠木さんの番号、着信拒否になってるし、電話でないし。登録してるよね」
かなりのお怒り。
しかしよく事情が呑み込めていない。
「もちろんしてるよ!!ほら!!」
あたしは携帯を桃に差し出した。
桃はアドレス帳を見ている。
「…やっぱりね」
「桃?」
「アンタ最近亮太に携帯渡したことあった??」
「一回だけ携帯忘れたからって貸したことはあったよ」
「あんのくそ男…気づけばか!あたしと楠木さんの番号を編集してる!しかもアドレスもLINEも消されてる!!」
「…えぇ!!!??」
「とりあえず事情はわかったから…あ、楠木さん?」