「綾部先生、私にイかされちゃったんだ?」
自分がイかせた達成感で意地悪な気持ちになる。
片手で収まりきらなかった精液をわざと見せれば、先生は少し悔しそうにしていた。
「あー……そうやって煽ってくるかぁ。じゃあ、次は花ちゃんね?」
ぐいっと体を反転させられ、壁に手をつく。
「あ……」
濡れそぼったそこに、イったばっかりなのに固いそれが挟まれた。
「ここ、放置しちゃったから寂しかったでしょ?」
にゅるんと、クリトリスが陰茎に長いストロークで擦られる。
「あん!」
これまでのダイレクトな刺激とは違い、優しく焦らされるような動きにきゅんと疼く。
「あー……仕事がんばってよかったー……」
――ちゅぷ……くちゅっ……
お風呂場全体にいやらしい音が響く中で、先生のしみじみとした独り言がやけに滑稽だった。
「あっ、んんっ!い、ま、言うこと、あんっ!ですか……っ!」
自分ばっかり追い詰められている状況が悔しくて、太ももわざとすりよせ、肉棒を刺激する。
「はっ……!だって気持ちいいし、花ちゃんかわいいし……ね、もう挿れていい?」
くちゅ……と、濡れそぼったそこにあてがわれる。
ずっと期待していた存在に、私の密口はひくひくと反応し、それを誘ってしまう。
「……気持ちよくしてくれるなら」
我ながら素直じゃないと思う。
でも、先生は嬉しそうに頷いた。
「ああああっ!んぁ……おっき……っ!」
「あっ……すっげ……!ナカ、やばい……!」
立ったまま、背後からずんっ!と挿入されると、じわじわと疼いていた快楽が子宮へと貫く。
肉棒の輪郭をはっきりと知らせるように、私のナカはきゅうきゅうとそれを締め付け、腰の動きはつい知ったばかりの気持ちいい箇所を示してしまう。
「あーもう、入れてるだけで気持ちいいとか……花ちゃんは、ここに夢中だし」
「あぁっ!そこ、もっと、もっとしてぇ!」
腰を突き出す姿勢で、ずんずんと奥をいじめられるとその度に目の奥がちかちかした。
気持ちいい、あの、波に飲まれて落とされるような、果てる感覚が近い。
奥を探られるようにかき混ぜられるのも、勢いをつけて暴かれるのも、乳首をつねられるのも、クリトリスを擦られるのも、同時に弄ばれる度にもっともっととねだってしまう。
やがて腰を打ち付けられる感覚が短くなり、膣の疼きが限界に届く。
「イクっ……!」
多分、果てたのは私が先だった。
びくんとはねたときには、先生のそれはナカから引き抜かれ、太ももに生暖かい体温を感じる。
「あ……」
イク瞬間に抜いてくれた先生の優しさにきゅんとしつつ、膣口は寂しく収縮する。体はまだびくびくと痙攣していて、ずるずると座り込んだ。
(あのままナカに出されてたら……私……)
上がった息を潜めながら、馬鹿なことを考えてしまう。
「花ちゃん、布団移動しよっか。風邪ひいちゃう」
温度を上げたシャワーで私の体をきれいにしてくれた先生がにっこりと笑う。
「ねぇ、次はゲームしようよ」
「……ゲーム、ですか?」
イきつかれてぼんやりしている頭で、言葉を反芻する。
先生は私をひょいっと抱えると、布団の上に下ろし、優しいキスをした。
「そ。これから花ちゃんのこともっと気持ちよくするから、花ちゃんからイかせてって俺におねだりしたら、俺との結婚、本気で考えてよ。もちろんイエスの方向で」
言いながら、先生は机から何かを取り出し始める。
がちゃがちゃと現れる無機質なそれらは……
「ば、ばいぶ?」
「と、ローターと電マだね。あ、初めて使う?」
「……実物は初めて見ました……て、まさか!」
「そりゃあ使うよ。一世一代の大勝負だからね。どんな手使ってもおねだりさせるから」
この日を待っていたんだよねぇ、なんて鼻歌の一つもし始めそうなテンションで凶悪なそれらが私に向かう。
「い、いやあぁぁ!」
……抵抗も空しく、私は正気を失うほどの快楽にあっさり白旗を上げることになる。
もう二度と、綾部先生には軽率に勝負をしかけない。
そう反省した翌朝。
私の薬指には見慣れない指輪がはめられていた。
脳裏に、昔からのあることわざかかすめる。
飛んで火に入る、なんとやら、と。