(幸太郎とだったら、きっと…)
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幸太郎と杏奈は、手を繋ぎながら、彼の家まで並んで歩いていた。
幸太郎は2階建てのマンションの2階の部屋に住んでいた。
2人は互いに緊張しながら、中に入り、ソファに座った。
一体何に対して緊張しているんだか、わからない。確かに2人はキスをして、それから何も言わずに手を繋いでここまで来た。
現に今も2人の手は繋がれたままである。
これから起こる事は、明白である、が、2人はまだ腑に落ちなかった。
杏奈は、昨夜のレイプ紛いの、辛苦に満ちた情事。
それに幸太郎には正当な彼女がいる。
杏奈はきちんと脚を揃えて、俯いて、これからどうするかを考えた。
幸太郎も、性格に似合わず無言で、無駄に背筋を伸ばして座っていた。
「先輩、僕、先輩としたいです」
幸太郎がそう言って、体を杏奈に向けた。
杏奈もチラッと彼を見て、直ぐに目を背けてしまった。
杏奈の心は、激しく動揺してしまった。
彼女の心をこれ程までに惑わしたのは、幸太郎の、恐ろしく整然とした顔。
そして鋭く真っ直ぐな、大きな目であった。
彼の目は、ブラックホールのように杏奈の冷静さと恐怖心を吸い取ってしまった。
(そんな目で見ないでよ…ほんとに好きになっちゃう…)
「先輩、痛い事は絶対にしないです。約束しますから、だから、しましょう。僕、先輩の事を抱きたいです」
杏奈はこれを聞いて、歓喜と苦悩に赤くなった目を、幸太郎に向けた。
幸太郎は微笑を浮かべて、杏奈の微かに開いた口に、キスをした。
(すごく温かい…)彼の舌が、杏奈の口に恭しく入り込んできた。
幸太郎は、ゆっくりと舌を動かして、杏奈の舌を探した。
杏奈も、自分の舌を差し出して、彼のが触れると、舌先を器用に動かして愛撫し合った。
顔を少し傾け、相手の首にそれぞれの腕を巻いて、深く舌を入れ込む。
2人の体は、温泉に入ってるかのように、至極リラックスして、身内がふんわりと温かい。
幸太郎は突然、杏奈の体をグイッと押し倒し、ソファの上で重なって抱き合った。
杏奈は幸太郎の大きな体に抑えられ、しかし恐怖は全く消えて、優しい安心感に包まれるのを感じた。
太腿辺りに、幸太郎の勃起した秘刀の熱が伝わって来る。
幸太郎は杏奈の桃色に熱くなった頬にキスし、それから血がドクドクと流れる、いい匂いのする首筋に顔を埋めた。
そして舌で彼女の綺麗な首や鎖骨の窪みを舐め上げる。
彼の舌が、不思議な程に杏奈の敏感な部分を刺激して、彼女は喜々と喘ぐ。
幸太郎は杏奈の服を脱がした。
そしてブラジャーの上から乳房を優しく触った。
「痛くないですか?」
「うん、もっと強く揉んで良いよ」
幸太郎は頷いて、杏奈の乳房をぐっと掴み、かき混ぜるように揉み始めた。
(おっぱいを揉まれて、こんなに幸せに感じたのは初めてだ。きっと今日だけは、気持ちの良いエッチができるかも)
幸太郎は杏奈のブラジャーを外した。