「今日も人いたなー」
「お互い様でしょ」
「なぁ…………」
「ん-?」
並んで歩いていると、夢久さんがなんだかおちこんでいた。
大丈夫?と顔を見れば、眉間にしわがよっていた。
「ちょ……ほんと大丈夫?」
「…………俺らさ、別れよう」
「!!!」
信じられない。
頭が真っ白になった。
まさか、こんな言われ方されたこともなかったし、
こんな形で破局宣言されたことなんてなかった。
あたしが…………
なにしたってのよ!!!
「な!!!!!!!………」
一度は声を荒げて怒ろうかと思った。
けど、すぐにやめた。
こんなつらい表情してる夢久さんを、
あたしはカバーできていないんだ。
それなら彼女失格だわ。
だから、わかった。
もうわかったよ、夢久さん。
「わか、った。じゃぁ、さよならだ、ね」
「あぁ。そうだな。」
あたしは泣くことをかなり我慢した。
プライドがどうとか、そんなことどうでもいい。
夢久さんに…………
好きな人にこんな表情をさせる自分が許せない。
このままじゃ、誰も幸せになんかできない。
「今までありがとうございました。では、お先に失礼しますね」
あたしは顔を見ずに一礼して、かたく結んでいた手のひらを解放してあげた。
夢久さんはめちゃくちゃ優しい人だから、かなり勇気とか覚悟があったろうな。
あたし……もっと早く気づいてあげれれば良かったのに。
だめだ。
涙が止まらない。
もう、忘れよう。
忘れてあげよう。
今まで本当にありがとう。夢久さん。
…………
…………
…………