さらに仕事は忙しくなる一方。
ストレスという名の重圧に耐えきれなくなってきた。
もう、何もかもどうでもいい。
親心芽生えのわたしは、自分の血を分けた子どもと一緒に死のうと決意する。
わたしは自宅近くの歩道橋に腰を下ろす。
「……ごめんね。産んであげられなかったけど、これからは一緒だからね」
お腹をさすりながら子ども言い聞かす。
そしてわたしは身体を橋の下に向かっていく時だった。
「友梨佳!!」
久しぶりに名前を呼ばれた。
声の主を探すとそこには祥がいた。
「祥…?」
「ったく…何考えてんだ!!探したぞ!!!!」
「…なんで」
「なんでって…こっちのセリフだ。なんで死のうとしてるんだよ」
「関係ないでしょ」
「俺の子だ!!」
わたしはその言葉に驚いた。
「俺は…未熟だった。隠れてコソコソ仕事増やしたから、なかなか家に帰れなくなるし、スマホはおやじに取り上げられたし」
「え?」
驚いた。
実は祥は、母親とは仲は良いのだが、父親とは連絡をとらないくらいだ。
しかも仕事を増やして…?
なんで…?
「友梨佳、俺…お前が好きだ。結婚しよう。おやじは兎も角、母さんの許可はもらった。だからお前が困ったときは母さんと俺を頼ればいい。全部お前ひとりが背負わなくてもいいんだよ、友梨佳」
また、ぽたぽたと涙が。そのとき祥がとってくれた行動の全てを
「だから、おいで」
両手を広げて待っててくれる祥に、わたしは心から思った。
―あぁ、わたしも結婚したい。祥が好き。
だから橋から降りて祥の胸に飛び込んだ。
暖かいぬくもりは冷えることなく、わたしを包んでくれた。
それからは一緒にいる時間を増やしてくれた祥。
稼ぐのは一度やめて、そばにいてくれるって。
実は祥のお母さんが援助してくれた。
いまはわたしのそばにいた方が良いって言ってくれたみたい。
幸せだった。