ラブラブ

私の初体験は、結婚してから半年後のある日でした。

私は彼と付き合ってから、そして結婚してから今日までの約1年半、一度もセックスをしていなかった。

別にしたくない訳ではない。

寧ろしたい。

しかし、当の彼は、私と付き合うまで異性とは無縁の生活を送っていて、所謂童貞なのであった。

更に恥ずかしがり屋でもあったので、彼は上手く私をリードする事が出来ず、いつもキスまでは出来るのに、それからは全く出来なくなってしまう。

彼は「ごめん、今日もやめよう。明日しよう」と言って、私に背を向けて寝てしまう。

私は背中を暗闇の中でじっと見ながら、気付くともう朝である。

何で私はこんな人と結婚したのだろうか?私は未だに疑問に思っている。

なぜ彼は私にプロポーズができた癖に、セックスが出来ないのだろうと。

もしかして自分の体に問題があるのかな?そんな風に思って、色々と調べてみた。

私は巨乳ではないが、そこそこ膨らみがある。

友達からは常々肌が綺麗だねと褒められるし、しかもそれは幼馴染の親友であるから、きっとお世辞でもないだろう。

もしかして臭いのかな?

私はそれから会社の同僚や友達に聞いてみたり、わざわざ更衣室で匂いを嗅いでもらったりもした。

しかし臭くはないと言われた。

私は本気だった。

しかし時が経っていくにつれて、彼の背中を見て寝る時間が増えた。

私は彼を愛していた。

もう今年で27歳である。

子供だって欲しい。

妊娠はなるべく早い方が良いらしいし、実際彼だって子供は欲しいと言っている。

そして今日、私は今晩彼とセックスをすると決めた。絶対にすると決めた。

彼がその気でないのなら、彼が私を上手く誘えないのなら、私が彼を誘って、リードしてやれば良い。

攻撃は最大の防御と言うではないか(まぁ、何から防御しているのだかよくわからないけど)。

私は今日は仕事が休みで、彼は仕事で家に居ないので、そのすきに色々とネットで調べて、そして勉強する。

夜になって疲れた彼が帰ってくる。

一緒にご飯を食べ、それぞれお風呂に入って、そして寝室に入る。

ベッドに二人がいつもの様に布団の中に横になる。彼はきっと私に背を向けるだろうから、背中に胸を密着させて後ろから抱きつき、戸惑う彼を抑えて…。

夏の涼しい夜だった。

19時頃に、五十嵐海里が仕事から帰って来た。

彼は非常に疲れた表情で帰って来ると、香にテキトウな返事をしてからそのまま自分の部屋に入って行った。

香は不安になった。

しかしそんな自分の感情をなるべく抑えて、晩御飯を準備した。

香は得意のカレーを作ったのだった。

21時頃、二人は向かい合わせに座って、目の前にあるカレーライスを無言で食べていた。

いつもの事である。

香はチラチラと、俯向いてカレーを淡々と口に運んでいる海里の顔を見た。

二人は食べ終わって、海里は自分の部屋に、香は台所で洗い物をしていた。

22時半、海里は部屋から出てきて、お風呂に入った。

香は海里の入っている浴室に近付き、中から聞こえる音を聞いた。

至って普通の、単調な水音である。

海里が出た後に直ぐに香がお風呂に入った。

鏡が湯気で真っ白になっていた。

それは当たり前であるが、そんな事も香には何処か普通には感じられなかった。

香も間もなくお風呂から上がって、二人ともそれぞれ仕事やら何やらをして、23時。

二人はいよいよ寝室に入った。

香が壁際に寝て、海里はその横に寝るのだった。

二人とも布団の中に入って、矢張り海里は香に背を向けてしまった。

香は、海里の背中をじっと見つめながら、あたふたしていた。どうしよう。

本当にするの?

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