あたしはいつだって真剣だ。
けど、あいつ………不真面目すぎだろ!
学校の教室であたしは杉本健(すぎもとたける)を眺めていた。
あたしの席からはクラスが一望できるので、
休み時間だろうが、授業中だろうが、
誰が何をしているのかがうかがえる。
あたしたちが通う学校は、進学校。
一般の模擬や学校でのテストも重大にとらえなければならない。
だからほぼみんなは真剣に取り組んでいる。
なのにあいつといったら…………
授業中は寝るし、休み時間も寝る、
学校は部活もしていないのに終業時間になったらそっこうで帰宅。
向上心あんのかよ!
部活なんて二の次で、みんなは残って勉強してんだぞ!
このままなのは絶対に許せない。
「ちょっと杉本」
「んー?」
帰宅しようとした杉本に声をかけた。
「このあと先生が勉強みてくれるって。いつまでふらふら遊んでんの?
いい加減にして残りなよ。遊び人じゃあるまいし」
「わり!俺用事あっから!!じゃぁなーー」
「ちょ、杉本ぉ!!」
んもーー納得いかない!!!!
というか…………成績どうなんだよ。
親の呼び出しはないみたいだけどさ。
ってなに心配になってんだ!
やめたやめた!!
…………
…………
…………
「ただいまーー」
あたしは自宅に帰ってきた。
時刻は19時半すぎ。
「おかえり
「!!お父さん!!??」
お父さんだ!!
「あら芽衣ー。お母さんの時とは違うわねぇ」
「お父さん仕事は!?」
「おやおや、仕事に早く戻ってほしいのかな?」
「そんなことないよ!会いたかった!!」
あたしの母親は専業主婦だからずっと家にいてくれるけど、
お父さんはお医者さんだからめったにいない。
そんな夫婦のもとにあたしが一人娘でいるんです。