あれからあたしと杉本は、一緒にいた。
そばにいたかったから。
支えになりたい。
あたし…………恋してる?
いやいやいや、なんであたしってば………
いらぬ予想なんかしてる場合じゃないっての。
それから時間は過ぎて、あたしと杉本は杉本のお母さんの部屋にいた。
どうやら最近は違う記憶で杉本のいる存在を受け入れてくれるらしい。
証拠を見たいが当のお母さんは術後の全身麻酔でよく眠っている。
お母さんの寝顔を見てニコニコしている杉本が、本当の杉本だろう。
あたしはお父さんのところに行ってから帰ると言い、病室を出た。
「先生!」
あたしがお父さんのところにいた時刻、19時半過ぎ。
看護師さんがバタバタとお父さんのいる医務室に入ってきた。
「どうしました?」
「先生、501号室の杉本さんのご子息さんが病院通路で倒れて………」
「!!」
あたしはお父さんよりも先に身体が動いて走った。
杉本はお母さんの病室の隣の部屋にいた。
スーッと眠っている様子。
意外に大丈夫そうな表情で眠っていたので安心した。
後ろからはお父さんが来て、頭をポンと叩く。
「こーら。病院は走っちゃダメだろ?」
「だって…………」
「そーんなに大事そうな人を待つお前を見るのは初めてだな」
「…………へ!?」
「そーかそーか。結婚はパパとするーなんて年は過ぎたかー」
「何言ってんだ!!」
「あまり声を出すと杉本くんが起きてしまうよ」
「!」
「じゃぁ………杉本くんのお母さんとは別の部屋がいいと思うから、
ここで休むように」
「うん」
「お前は………残りたいなら残ればいい。
彼の力になれるならなるといいよ」
「はい、お父さん」
「よし。よくできた娘で安心したよ」
「うっさいから早く行って!!」
「はいはい」
クスクスと笑ってお父さんは杉本の眠る病室から出て行った。