恋のはじまり

ずっと好きだった年上の幼馴染…

悠奈ゆうなは夢を見ていた。

大好きな幼馴染の良太りょうたと結婚するんだと。

結婚してラブラブになって、手をつないでキスをして・・・

けれどもバスケをする良太は身長がかなり高い。

釣り合うようになるにはある程度身長はほしい。

しかし悠奈は母親の遺伝を強く受けてかなり低身長。

そのためにまず、必死に牛乳を飲んで身長を伸ばせるだけ伸ばそうと努力を積んできた。

その努力は儚いもの。

それは年齢という大きな壁。

悠奈はまだ9歳。良太は17歳。

良太は悠奈の気持ちを知らないので、彼女ができるたびに悠奈に紹介していた。

悔しくってしかたがない。

そして良太の彼女は全員そろって身長差が理想的だった。

 
 

こうしているうちに良太は就職を迎えることになった。

今いる田舎から札幌へ行くのだ。

簡単に通える距離でもないし、良太は社会人になる。

せっかく身長が理想に追い付きそうなのに、肝心の良太がいなくなる。

そう思っているうちに卒業になり、良太は札幌へ。

いつしか悠奈は自暴自棄になっていった。

悠奈も社会人になったある日のこと。

良太と同じ札幌に就職になった。

だが札幌は広い。

良太とはもう会えないと思って毎日を繰り返していた。

けれどもどこかで期待している。

この札幌市の中でいつか会えるのではないのだろうか。と。

そんな淡い心をもって過ぎること半年。

悠奈にも彼氏ができた。

どことなく、良太に似ている男性。

会社の同僚だ。

最初はだれかと付き合うなんて想像もしていなかった。

良太以上の人なんていないことを知っているから。

けれども、それを知ってるうえで告白をされ、忘れたいがままに同僚の山口亨やまぐちとおるを受け入れるのだった。

亨とは毎日会っていた。

会社が休みならば亨は悠奈のマンションへ、同じ出勤なら一緒にランチやディナーに。

ずっと一心に悠奈を思う気持ちが伝わり、悠奈は本気でこれなら良太を忘れられるかもしれない、と別な期待をし始める。

月日は流れ、残業が多くなった亨はなかなか悠奈と触れ合える時間が少なくなっていた。

それでもLINEで話を絶やさずに悠奈と付き合っていた。

そんな時、偶然に一人で帰宅している最中に、出逢ってしまった。

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