「わ、美味しい…!」
「飲みやすいな、これ」
「うん、つい飲み過ぎちゃいそう」
南国らしい搾りたてのシークァーサー果汁の爽やかな後味に
好奇心で注文した泡盛のカクテルに舌鼓を打ち他愛もない話に花を咲かせた。
米軍基地のほど近いこのバーは、全ての物に日本語と英語の表記がある。
それはメニューだったりイベントの案内だったり。
内装は伝統的な英国風のアイリッシュ・パブで外国人の客も多く、そんな中で大きなソファに体を沈めカクテルグラスを傾けているとまるで異国に来ているかのような錯覚に陥る。
隣に座る恋人、
………
………
………
「え…沖縄旅行!?」
「うん。お盆にさ、
1ヶ月前に彼が突然言い出した旅行。
「プランは任せてよ。美沙は休みだけ取っといてね」
その場でバイト先に電話をしてなんとか貰った二泊三日。
思えば付き合ってもう三年、一緒に旅行なんてしたことはなかったしデートだって最近は忙しいとの理由でなおざりだった。
忙しい、と言ってばかりで家には寝るために帰るだけの彼と、毎日家事とバイトを繰り返すフリーターの私。
関係が冷えきるのももう時間の問題かなぁ、なんて諦める気持ちが芽生え始めていた頃に提案された誘いに一抹の希望を持って挑んでみた。