「じゃあ、今日はここまでにしようか」
「はい、先生」
僕は教科書を閉じて、机の上を片付けた。
「今日もありがとうございました」
「いえいえ。隆くんはいつもやる気があるから教えがいがあるよ」
僕はこの隆くんの家庭教師をしている。
大学生のアルバイトとしてはありがちなことだと思う。
隆くんは小学二年生だ。
だが、ご両親の強い要望もあって、実質三年生の内容を教えている。
それでも特につまずくこともなくついてきているところを見ると、かなり優秀らしいということは分かった。
敬語もしっかりしているし、ひねたところのない素直な子だ。
「工藤先生、いつもありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
二階にある隆くんの部屋から階段を降り、玄関へ向かうと、そこには隆くんのお母さん、優香さんが立っていた。
こうして会うとき、優香さんの微笑みはいつだって完璧だ。
見るからに『いい母親』な表情をしている。
隆くんの育ち方を見ていると、優香さんが『いい母親』だということは間違いないと思う。
しかし、僕は知っている。
彼女が『いい母親』なだけではないことを。
「先生、今日もお茶をご用意していますので、少し休んでいかれませんか?」
「お言葉に甘えて」
優香さんについて、僕はリビングへ向かった。
「隆、うえで宿題でもしていらっしゃい」
「うん!」
優しく微笑みながら頭をなでる優香さんの言葉に応えて、隆くんはまた自分の部屋に戻っていった。
僕が出した宿題を今からやるのだろう。
「どうぞ、こちらです」
優香さんは扉を開いて、僕をリビングへ通した。
僕が後ろ手にドアを閉めると、優香さんは振り返って僕の背中に手をまわした。
「今日もする?」
僕の耳元でささやく、彼女の甘えた声。
それだけで僕はぞくぞくさせられてしまう。
そう、僕は知っているのだ。彼女がただ『いい母親』なだけではないことを。
彼女が、『わるい女』だということを。
「もちろん」
僕も彼女の背中に手をまわし、桜色の唇にキスをした。
少しレモンの香りがした。
テーブルの上にはほんの少しだけ液体の残ったティーカップが置かれていた。
カモフラージュのために、僕のカップも置かれていたけれど、それにもやはり、少ししか液体は残っていなかった。
「レモンティーですか?」
「そう、口をさっぱりさせておきたくて」
「どうしてです?」
「わかってるくせに」
「僕は隆くんと違って、物分かりが良い方ではないので」
「いじわる」
「いじわるじゃありません」
「私、今から、あなたの濃厚なミルクを飲まないといけないから、だから」
「僕の、飲みたいんですか?」
「たまらなく」
優香さんは僕のズボンを下ろし、すでに固くそそり立っている肉棒にむしゃぶりついた。
本当に、待ち遠しくてたまらなかった、とでも言うように。
「んっ……」
「声は出しちゃだめよ、隆に聞こえるから」
静かに、しかし、強引に、彼女は僕の欲望を搾り取ろうとしていた。