どうやら早織の財布を盗んで失踪した様子。
泣きながら早織は会いたいと電話で言っていた。
最初は会う気もさらさらないあたしは断るが、
死んでやる!と叫ばれては答えないわけにもいかない。
結局、早織の近くの公園で会うことになった。
「アンタに子どもができたせいだ」
ずーっとずーっと繰り返される早織からの言葉の暴力を、
あたしはただただ聞かされていた。
なんだか笑えてきた。
ツラくて、ツラくて、誰にも言えなくて、
あたしだって誰かに言いたかった。
「…………あたしが死にたいよ」
そう言い残して、
あたしは泣きながら笑って早織にバイバイと手を振って、
トラックに跳ねられた。
次に目を覚ました時には幸せになりたいと心から思った。
忘れたい。
ツラい夢だったんだ、と笑いたい。
でも現実は違った。
ただただ、右足のアキレス腱に傷がついて、
子どもを流産しただけ。
…………
…………
…………
「皆川さん」
そう起こしたのは尊くん。
あ、そっか、あたし…………
携帯に…………
「まだ寝てる。早く消え去れ」
え?
尊くんからそんな言葉が出るなんて…
誰に向かって言ってるの?
「ガキは引っ込んでろ」
その声は!!!
起きようとしたが、尊くんの声に驚いて眠ったふりをした。
「二度と皆川さんの周りに来るな。次はねーからな。いくら兄貴だからって」
!?
あに、き?
前置きが長すぎる上に、最後の状況が分かりにくいです。