「明けましておめでとうございます」
と、ふすまが開いてお姉ちゃんが顔を出した。
「おめでとう、恵美ちゃん」
「恵美ちゃんも一杯やらんか?」
おじさん達がお姉ちゃんに声をかけた。
「おばあちゃんと伯母さんの手伝いするからやめとく。また後でね。そう言えば、おじいちゃんは?ここにいないの?」
「じいさんなら、子供達にせがまれてかまくらを作りに行ったぞ。おじさん達はギブアップ」
「ふ~ん」
お姉ちゃんは私には目もくれないで、ふすまを閉めてから台所へ行った。
「恵美ちゃんはつれないなあ…」
「昔から変わらないな」
おじさん達は笑ってる。
お姉ちゃん、やっぱり可愛げがないからおじさん達からも呆れられてる。
………
………
宴会が始まる前にトイレに行ったら、お姉ちゃんが子供達が集まってる部屋でお年玉を配ってた。
「私にもあるんだよね?」
私はお姉ちゃんに声をかける。
「は?」
お姉ちゃんは呆れたような顔になった。
「可愛い妹にもくれるんでしょ?お年玉」
「皆、そろそろ宴会の時間だから、台所に行っておばあちゃん達の手伝いをしてあげて」
お姉ちゃんは私を無視して、子供達に言った。
子供達は「は~い!」と返事しながら部屋から出て行った。
「ねえ!私には!?」
私を無視して部屋から出ようとするお姉ちゃんの腕をつかむと、お姉ちゃんはめんどくさそうに私を見た。
「何で、あんたにあげないといけないのよ?あんた幾つ?」
「だって、私仕事してないから、学生みたいなもんでしょ?」
「短大卒業してから何年よ?何が学生?ただのニートでしょうが」
「ニートじゃないよ!ただ、私に合う仕事がないだけ!」
「ニートの決まり文句よね、それ。今はそれより、あんたもちょっとはおばあちゃん達を手伝いなさいよ」
「何でアイドルの私がそんなことしないといけないの!?」
「はあ?」
お姉ちゃんは私の手を振り払った。