マニアック

私を可愛く召し上がれ

「……すみません、酔っているのかも。余計なことを言いました」

「べつに桜は謝るようなことをしてないだろ」

(いや、そんな憮然ぶぜんとして言われましても……)

 なんだか妙な雰囲気になって……よせばいいのに、この場をぶち壊したくなってきた。

あぁもう、何もかもが面倒臭い。
………

………
「あの、向こうの可愛い子達の方行ったらどうですか? 先輩なら歓迎されますよ」

 今度は言葉のささくれを、最大限なりをひそませたつもり、だった。

「なぁ、俺と一晩どうだ」

「……は?」

「業者だとハードル高く感じるんだろ? 俺だったらお前にとって多少は気軽なんじゃないか? ある程度の清潔感と常識はあるし」

「……黒岩先輩酔ってますね? お水持って来ますから、」

 ちょっと待っててください、と。

 続ける予定だった口を塞がれる。

 それは多分、一瞬よりは長い時間のキスだった。

「酔うほど飲んでねぇし、覚めたわ。どこぞの誰かより俺のがいいだろ」

 静かな怒りを込められた視線が私を射抜く。

その視線にあてられて、私はきつく握られた手首を、振り払うことができない。

 どうして、なぜ、と。

 見つけようもない疑問に言葉を失う。

 沈黙は肯定と捉えられたのだろう。

 

 その場がお開きとなり、一本締めで収められた最中も、黒岩先輩は私を逃がさないとばかりに側に立っていた。

会場を後にする際、誰かに見られていただろうに、構わず私の肩を逃がさないとばかりに抱き寄せタクシーを捕まえる。

 そして、告げた行き先がラブホテル街だった瞬間――

私は、やっとことの重大さを自覚して、眩暈めまいがした。
………

………

………
「あぁっ! ふ、あああ……ひっ! せんぱ…… もぉ、いやぁっ!」

 首を何度も左右に振り、腰をよじり、脚をばたつかせる。

そんな抵抗しても、男と女の力差で逃げ切れるわけもなく。

 ネクタイで縛られた手首と押し倒されてベットに縫い付けられた背中。

 信じたくもないけど、大きく開かれた足の間には黒岩先輩がいて、さらした最大の弱点にちゅうちゅうと吸い付いては輪郭をなぞり、

 ――ぢゅぶぢゅぶぢゅっぢゅぅうっ……ぢゅるるるっ!

「いやぁあああっ! イクっ……イっちゃぅううっ」

 塞げない耳まで犯すようないやらしい音を立てて秘豆をなぶる。
………

………

………

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