第四章:本音
時間は経ち、尊人とあかねは夜景がきれいなレストランにいた。
「…?あかね。どうした」
実はこの二人は付き合っている。
結婚すら考えていた。
けど、気になる。
「気になるの?」
「え、いや…別に」
「あいつはかわいそうなやつなんだ」
「どこが!?」
「まぁあかねならいいか。実はー…」
「え?」
それは、予想だにしない内容だった。
………
………
………
場面は変わり、一人黙々と仕事をしている健人がいた。
本当は数分前には性行為をしようと誰かを呼ぼうと思ったが、そんな気になれずに一人でいる。
「あーあ…何やってんだ、俺は」
一人の女が気になる。
好きではない。
けど、なんか…そう思いふけていると部屋の入り口が開いた。
眠気がピークにきていた健人はそれに気づかず、目の前にその人が来てから気配で目覚めて誰なのかと見る。
「はい、bossのシルキーミルクです」
そこには残業を断って自分の兄と食事へでかけたあかねが立っていた。
「……へ?」
「あ、いつものは売り切れてたんです。でもこれはおススメですよ」
呆気にとられていると、あかねは山積みになっている書類に手を付け始めた。
「少し寝てください。目の下のクマは少し休ませないととれなくなりますよ」
「いや、だって兄さんと…?」
「なんですか。私が戻ってきて何か不都合でも?あ、そっか。女性を好きに呼べませんね」
そこでクスっと笑ったあかね。
その顔は今まで見てきた女性の誰よりも美しかった。
もう我慢できない。
「あかね」
「え?」
いきなり、しかも初めて名前で呼ばれたあかねは、本当に驚いて健人を見上げた。