「もういい!別れる!!」
そう叫んだのはあたし。
「もう浮気しないから!」
「信じらんない!今日はあたし帰るから!」
「送る!」
「地下鉄で帰るからいい!!」
そう言い張って、彼氏のマンションから飛び出した。
………
………
けれども…………
本当にわからない地域にいるため、地下鉄がどこなのかもさっぱりわからない。
しかたない、と歩いていると、
おしゃれそうな小さなバーがあった。
あたしはここで一晩明かさせてもらおうと決めて入り込んだ。
目の前に広がったのは、あまり人気がないのに、ピアノ演奏が高レベルなバーの中。
その中でカウンターに向かった。
「あれ?初めての子じゃない?」
マスター…………かっこいい。
「ねぇねぇ
そこには歩という青年がいた。
「………ほら。これおごり。泣いた顔でうろうろしてると食われるぞ」
歩くんは硬派?
なら落とし甲斐がありそう。
「なんだか……ドキドキしますね。初めまして。
「俺は歩…………ってもう知ってるか。」
「ふふっ。お酒、ありがとう」
「あんまり泣いてると肝心な時に泣けないぞ」
「肝心な時?いつ?」
「ん-、セックスとか」
なんだか近いにおいがした。
「もしかして、溜まってるの?」
あたしは積極的になろうと決めた。
じゃないと明日のオペも集中できないし。
落ち着かせるためのセックスをしないと。
「俺んち来る?」
「うん」