「どうした?」
ホテルの部屋のソファに座って、スマホを操作している私を見て篠田君が尋ねてくる。
「着信音を消してただけ。最中に連絡音聞くと萎えるし、それが和史からだったら最悪」
私は篠田君にスマホ画面見せながら言って、スマホをを鞄にしまう。
篠田君は私の隣に腰掛けると、私を引き寄せて唇を重ねて来た。
「んっ…」
無意識に私の口から声が漏れる。
しばらく唇で唇を噛まれてから、篠田君は舌を私の口の中に入れてきた。
私は篠田君の舌に自分の舌を絡める。
「んん~っ」
息苦しさを感じるけど、それ以上に気持ちいい。
しばらく舌を絡めるキスをしていると、篠田君が私の上着の裾から手を入れて来て肌を撫でてきた。
私は慌てて篠田君の体を押しのけた。
「奈緒先輩?」
戸惑った表所の篠田君を見ながら、私は一言告げる。
「ごめん。シャワー浴びさせて」
「この状況で、それって。萎えるじゃん」
「致す前は体をきれいにしていたいもんなの、女は」
私はそう言って、さっさと浴室へ向かう。
豪華と錯覚させる浴室で、私はシャワーを浴びながらぼんやりと立っていた。
和史との初めての夜は、思い出すだけで悲しく腹立たしくなる。
私と和史は見合い結婚だった。結婚するまで、お互い体の関係はなかった。
初めての夜、和史は私の服を脱がせるとお互い気持ちを高めるための愛撫もそこそこに、いきなり突っこんできた。
痛みで悲鳴をあげた私を感じていると勘違いしたのか、和史はただ激しく腰を動かしてきた。
終了後は、私を労わる様子も見せずにさっさとシャワーを浴びに行った。
私はあそこから出血して、数日痛みがひかなかった。
でも、篠田君は違った。