よく小説や漫画でのラブシーンであるように、キスから始めた。
篠田君からキスされている時、何とも言えないふわふわとした感覚を味わった。
そう言えば、和史は私にキスをしたことあったっけ?
不意に浴室のガラス戸が開いて、全裸の篠田君が入って来た。
「え?なに?」
「俺もシャワー浴びとこうと思って」
「私が今、浴びてるんだけど?」
「いいじゃん。一緒に浴びようよ」
篠田君の体は思ったよりも均整のとれた筋肉質だ。
私は顔が赤くなるのを感じて、篠田君から顔を背ける。
篠田君が近づいたと思ったら、いきなりシャワーのお湯が水になった。
「つめたっ。何すんのっ?」
篠田君の顔を見ると、彼は楽しそうに笑っていた。
「奈緒先輩が緊張してるみたいだから、緊張をほぐしてあげようかなと思ってさ」
「緊張がほぐれるどころか、体が硬直する」
私は楽しくなった。
和史とこんなふざけ合いをしたことはない。
和史とはいつも事務的に対応をしていた気がする。
結婚する前も、結婚してからも。
突然、私は篠田君から横抱きにされた。
「え?」と驚く私に篠田君は笑いかける。
「やっぱり、女性は軽いなあ」と言いながら、篠田君は私をベッドまで運んだ。
そして私に覆い被さってきた。
篠田君は恋愛感情が絡まなければ女も抱けると言ってたけど、やはり何度か女を抱いた経験があるのだろう。
扱いがうまいと言うか、手慣れているというか。
ベッドに横たわる私を、篠田君は手と口で優しく愛撫してくれる。
篠田君は私の首筋に舌を這わせながら、私の足を手で撫でる。
「やんっ…!」
私はくすぐったさを感じて、笑い声の混じったあえぎ声を出す。
篠田君は何度も私の首筋を舐める。
「やだあ…。もぅ…」
頭が白くなるのを感じながら、私は篠田君の背中に腕を回した。
篠田君の舌はゆっくりと私の胸に下がっていく。
「きゃっ」
乳首を舐められた時、私は微かに声をあげていた。
私の乳首を吸ったり舐めたりしている間、和史君の手はもう片方の私の胸を愛撫していた。
「あっ…あっ…。もうっ…!」
指で乳首をつままれた時、痛みよりも甘い感覚を味わった。
「奈緒先輩、感じやすいんだ。いじめがいがありそう」
「いじめがいって…?」
篠田君はニヤッと笑うと、片手で私の両手首を私の頭の上で押さえると、触れるか触れないかの感覚で器用に私の乳首を舌で愛撫する。
しっかり触ってほしいのに、微かにしか触れてくれない舌先にもどかしさを感じる。